jonajona

ばるぼらのjonajonaのレビュー・感想・評価

ばるぼら(2019年製作の映画)
3.4
ばるぼら、ってネーミングが独特で面白いね。どろろ、ピノ子、電話でゴンス、キャッチーなセンスと艶かしい原始的欲求と人間の誠実さ、全てが備わった漫画が描ける手塚治虫という人。
ばるぼらは原作未読。漫画読みたい…晩年の手塚作品は闇が深いと評判ですね。

完全に象徴主義のアート系映画でついて来れないやつは置いていくという魚雷さん(ボーボボ🥸!)スタイル。主人公の変態性癖が楽しみだったけど想像以上に普通?だった。いや描き方が美しすぎてあんまり怖くなかった。人形とか犬とやったりしてたって事かなアレ…だとすると相当…
しかし多分あのシーンの意味は、変態性癖ではなく女の子達はアイデアの象徴なのだという事だと思う。
芸術家のミューズたりうる『ばるぼら』は執筆家の先生にとってインスピレーションそのもので、他のアイデア(女)は一見すると艶かしく見えるけどばるぼらを前にすると犬やマネキンでしか無い、って事だよね。ばるぼらは先生の純粋な創作の邪魔になる存在を次々追っ払っていく。創作者の理想の存在。確かにいて欲しい。

マネキンのお姉さんに試着室に誘われるまでのシークエンス白昼夢っぽくて好き。

二階堂ふみが相変わらず美しく本当脱ぐの惜しまないなと感心。でもこういうハードな映画以外も色々出方はある役者さんな気もするけど、根っこがこっちなんだろうな。なお好き。
稲垣吾郎と昭和的ばるぼらの摩訶不思議な世界観の相性が想像以上にいい。稲垣さんのサングラス姿ってキザっぽくてめっちゃ昭和の香りする。
鉄パンチパーマお母さんの迫力が最高だった。あの人の存在感何アレ!なんかリンチ版DUNEの伯爵思い出した笑

映画としては、ばるぼらと愛し合いだしてから小説が再起しだす描写がいまいち無いのが困る。あって欲しい。別に商業的に復活し出した…とかじゃないってことか。
ラスト間際の突き抜けた諸々の展開は良かった。○姦大全集みたいな、やっちゃいけないこと全部やるって感じ。でも特にオチがない…

〜今日の名言〜
愛には常に狂気が潜んでいる。
そして狂気には必ず理性が含まれる。
フリードリヒ・ニーチェ

(オープニングの蔦の演出きれい)
jonajona

jonajona