鷲尾翼

ファイブ・フィート・アパートの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

4.0
【まとめシネマ】#636

【まとめ】
* 150cm離れた二人だけの恋
* 「I LOVE YOU」が染みるラスト
* 目の前の愛に触れる意味

本作を語る前に「嚢胞性線維症」について。

通称「CF症」と呼ばれ、白人に多い粘膜の難病。欧米白人の場合、2500人に1人の割合で発病すると言われている。同じ病気を患った患者同士が接触すると、バクテリアが移り悪化してしまうため、患者同士は6フィート(約180cm)離れての交流が推奨されている。

なので、本作を見ているとマスクをしてる、していない、の基準が分からなくなるので、鑑賞前にCF症の予習をしましょう。

ヘイリー・ルー・リチャードソン演じる本作のヒロイン、ステラは、CF症で人生のほとんどを病院で過ごす17歳の女子。愛想もよく、性格もいいが、強迫性障害で気にしすぎる部分もある。

コール・スプラウス演じる主人公・ウィルは、CF症でステラが通院する病院に新しく転院してきた青年。ヤンチャで、素っ気ない。

最初は互いに警戒していたが、次第に悩みを打ち明ける仲となり、二人が今まで経験してこなかったピュアな恋愛を、少しだけ距離を縮めた150cm(5フィート)の間で描かれる。

本作のラストは、純愛ゆえに、切ない。
病院を抜け出すほど二人の愛は深まる中、ある出来事をきっかけに運命を目にする。久々に素敵な「I LOVE YOU」を聞けた、と思う。

本作は、友人や家族、恋人など目の前の愛情に触れる意味を教えてくれる素晴らしい作品。スキンシップでも、ハグでも。
鷲尾翼

鷲尾翼