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草原の輝きのSIのレビュー・感想・評価

草原の輝き(1961年製作の映画)
5.0
2021.8.31
自宅TVにて鑑賞

1920年代。強く愛し合う高校生の男女は、家柄や純潔を重んじる互いの両親の抑圧のせいで一線を超えることが出来ず悶々としている。男が性欲解消のために同級生と関係を持ったことで女は錯乱し身投げ、精神病院へ、男は父親の言うがままに遠方の大学へ進学する。大不況で男の父親は自殺、家柄の障害はなくなったものの、数年後に退院した女が訪ねると男は極貧のなか結婚し子供も授かっており、女は「草原の輝き」の詩を噛みしめ何とか前向きにその場を後にする。

「草原の輝き 花の栄光
再びそれは還らずとも なげくなかれ
その奥に秘められたる力を見い出すべし」

エリアカザン監督。ナタリーウッド×ウォーレンベイティ。
テーマは、愛の力強さ。若き日の恋が成就せずとも、その後の人生を生き抜く力になる、というラストは、エリアカザンらしい渋いビターエンド。ワーズワースの詩の引用が、作品を貫いていて非常に良い。
女性の性欲を扱っていたり、女が恋焦がれすぎて錯乱状態になったり、時代の流れを物語に取り入れたり、展開が鮮烈だった。

濃厚なキスシーンから始まる。一線を超えそうになり自制する二人。ファーストカットから、作品の主題を提示する素晴らしい導入。
エリアカザンは、基本の構図がどれも本当に完璧で、観ていて気持ち良い。斬新さこそないが、まさに巨匠。

ヒロインのナタリーウッドが綺麗すぎた。そして熱演。
入浴シーン。ベイティと関係を持てず錯乱し、とんでもない芝居。

劇伴は軽やかなジャズ音楽で、重い内容をうまくまとめていた。

黒柳徹子は知り合いが死ぬ度に「草原の輝きですね」と周囲に言うらしい。ちょっと笑ってしまった。
学びの多い名作。ピュアなラブストーリーの中では、一番好きになりました。
SI

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