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草原の輝きのeknのネタバレレビュー・内容・結末

草原の輝き(1961年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

一年ぶりに再見。
少しは心の余裕ができたはずだと思って挑戦してみた。やはり苦しい。
男に対して抱く欲望を「妻の努め」と誤魔化すことが、娘の精神にどれほどの負荷がかかるのかを想像することができないばかりか、‘’その人‘’ではなく金の話ばかりする母親。自分が果たせなかった夢を全て息子に丸投げして、彼の心情を少しも考えてやれない父親。親子という関係性をスパッと断ち切れないもどかしさと、理想主義を蝕んでいく現実に対して、若者は無防備だった。親子愛や若さへの一般的な価値を転倒させていく。
「私はいい子 私はいい子」
「あなたは健康体よ」「前も治った 今度も治る」
「バッドの時と違いますけどー愛しています」
今の自分が幸福かどうかなんて考えてもいなかったって言われたら、そりゃあの表情になる。本作を外側から観られる人たちが心底羨ましい。幸福だろう。
胸くそ映画でよく挙がる作品の比じゃない心苦しさがずっと残る。
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