アラシサン弐

ブラインドスポッティングのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.3
人種間にある根本的な壁を表す秀逸なタイトル。
オープニングの車窓映像でオークランドがどんな街か説明されなくても感じ取ることが出来る。

3日間を問題行動ばっかり起こす相棒と治安の悪い街で何も無く過ごす、というドタバタコメディのプロットから、黒人が根源的に感じさせられている恐怖や、白人が「感じていない」黒人の恐怖が浮き彫りになっていき、クライマックスでの主張で一気に感情が爆発する。

常に一方的に銃を突きつけられる恐怖を感じているコリンと、一方で黒人の幼馴染と過ごし黒人の奥さんがいて差別とは距離がありそうに見えながらも真っ先に撃たれることを想像したことが無いマイルズ、見えている景色は同じでも感じ方の違いを見せつけられる。

ジェントリフィケーションも分断を実は加速させてる要因のように思えてくる。
そもそも逮捕された原因が、お気楽な富裕層がコリン達の生活様式に無遠慮に入り込んできたことで起きてしまったことであるし、クライマックスで街から出ていこうとする人物もコリンからしたら好き勝手やられた怒りが爆発して当然のように思えてしまう。
二人が引越し業者っていう街の高級化の手伝いをする仕事なのも皮肉。

“ラップで言うのはみんなが聴くから”
ラストのコリンを見てマイルズの盲点は消えただろうか。
複雑な余韻が残る。
アラシサン弐

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