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ブラインドスポッティングのmoridonのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.4
「直感的に盲点なのは変わらない」
哀しいことに、このセリフは真実なのだ。

オバマ前大統領の2018年ベストムービー。新しい切り口で差別を描く、とても素晴らしい作品でした。

舞台はカリフォルニア州アラメダ郡オークランド。古くから黒人のコミュニティがあるものの、昨今はジェントリフィケーションにより余所者が蔓延るこの街で育った2人、コリンとマイルズが主人公。

黒人のコリンと白人のマイルズ、小さい時からずっと仲良しで、同じものが見えていると思っていた2人。ある事件をきっかけに言い合いとなり、そこに“ブラインドスポッティング”があったことに気付きます。

面白いのは、この作品では“ルビンの壺”が差別の隠喩として扱われている点。壺の絵にも向き合った2人の顔にも見えるこのルビンの壺に関して、ヴァルは“盲点”という表現を使います。

「別の見方が出来ることがわかったら、もうそれは盲点ではないのでは?」
と反論するコリンに対し、
「直感的に盲点なのは変わらない」
と答えるヴァル。

人は両方の面を同時に見ることはできず、一つの面のみを見てしまう。その直後に見方を変えることができたとしても、直感的に見てしまうのは最初の一面なのだ。差別もこれと一緒であると。

ものすごく深く、そして重いテーマにもかかわらず、テンポの良さとギャグの多さ、そして歯切れの良いラップのおかげでとても観やすくなっているのもポイント。脚本を書き役を演じ、ラップもこなす主演の2人が素晴らしい。

そして何より“盲点をなくすことはできない”ということを伝えてそれで終わり、という訳ではないのがこの映画を高く評価したくなる理由である。

コリンが青汁を飲む姿をあんなに馬鹿にしていたマイルズが最後、青汁を口に含み「悪くない」と笑いながら答える。その距離はゼロにはならないものの、我々は歩み寄ることができるということ、それを教えてくれるとても素晴らしいシーンでした。
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