LalaーMukuーMerry

ブラインドスポッティングのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.5
俺の名はコリン、カリフォルニア、オークランドに住む黒人青年。わけあって2カ月の刑務所暮らしの後、1年間の更生期間を過ごしている。引越し業の肉体労働をつづけて普通に暮らしているのだが、もめ事は決して起こしてはならない、規則を守って門限までに帰宅しなければいけない(間違いを起こせば俺は既決重罪犯となり刑務所に逆戻り、それだけは絶対いやだ)。その期間もあと3日で終わる。
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ダチのマイルズは、幼いころからの遊び仲間、白人だが黒人っぽいやつで俺と気が合う。ただ喧嘩っ早いのが玉にキズだ。おれが刑務所に入ることになったのも、もとはと言えばマイルズの始めた暴力沙汰のせいだ。現場に来た白人警官が肌の色で俺を犯人に決めつけたのだ。マイルズはすまないと思ったのか良く面会にきてくれた。今の仕事も彼と組んでやっている。
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だがマイルズは、俺の目の前でチンピラ仲間から拳銃を(不法に)買い入れて喜んでいる。家庭には小さい子供がいるというのに一体何を考えているんだ! これがバレたら俺の人生はどうなる? 
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家に帰る途中の交差点で赤信号待ちの時、俺の車にぶち当たってきた黒人の男がいた。必死の形相ですぐに逃げて行ったが、一瞬俺と目が合った。その直後、白人警官が追ってきたと思ったら、俺の車の目の前で拳銃を出して、逃げていく男に発砲した。犯人は即死。白人警官とも目が合った。嫌なものを見た。
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こころに何かがひっかかる。おかしい・・・。あと3日・・・
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「ジョーカー」は、冷たい社会に疎外された人が、我慢の限界が破れて、社会に牙をむくようになる話だったのに対し、これは牙をむく寸前で踏みとどまったという話。アメリカ社会の闇、銃がストーリーの動きだすきっかけとなっているのも共通点でした。
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「ジョーカー」のように暴発してしまうことはめったにないが、この映画の主人公のように、強い不満を持ちながらギリギリ我慢して暮らしている人がほとんどではなかろうか。
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強烈なメッセージが投げられたと思うのだけれど、このメッセージの裏にある人々の窮乏ぶりや不満、その心のうちを、みんながわかるようになる必要があるのでしょう。特に地位ある人にはわかってほしい。それがわからない人は、その地位に値しないということを肝に銘じてほしい。