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ブラインドスポッティングの3Dメガネのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
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※ネタバレあり
※以下主張は全て個人の考えに過ぎません
『ブラインドスポッティング』
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【テーマ】
[反応がもたらす悲劇]
アメリカ社会における人種差別が題材の
作品ではあるが、本作は黒人差別を非難したりする類では無い。
そこからもう一つ踏み込み、逆差別を含めた今のアメリカにおける問題を浮き彫りにする。
同じ街で育った2人の青年は、白人と黒人という異なる人種の中で
異なる景色を見ていたのである。
白人警官の黒人射殺への恐怖。
地域性がもたらす逆差別
(白人がブラックカルチャーや言葉遣いを真似していると馬鹿にされる)
これら二つの現象は、外見的要素で相手の
パーソナリティを判断してしまう人間の本能によるものである。
見た目で判断するなという決まり文句は
人間が見た目で判断してしまう愚かさへの
自戒に他ならない。
そしてこの現象を“ルビンの壺”
(視覚的錯覚を示した有名な心理学実験)
をモチーフに人種問題の難しさを示している。
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【鑑賞ポイント】
[ステレオタイプからの脱却]
本作では白人と黒人の登場人物がいる。
そして黒人は抱く誤ったステレオタイプからの脱却を果たしている。
白人の人物の描き方が、粗暴で口が悪く
暴力的である。
一方黒人側は青汁を飲み、毎朝ランニング
を行うなど規則正しい生活を送る。
従来のアメリカ映画などで描かれてきた
イメージとは真逆の性質を描写する。
しかし、作中でも言及があるが
白人警官が銃を向けるのは中身ではなく
外見的な要素で決定されるのである。
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【まとめ】
人種差別を題材にした作品の中で、
ステレオタイプから逸脱した描写や
“ルビンの壺”などをモチーフにした
本能への疑問提起は面白い。
復讐劇のような大きな話ではなく、
その不条理が日常と共存している様を
描く点も現実味があり良かった。
我々日本人としては実感のない話ではあるが
外見的要素から人を判断してしまう点では
思い当たる節がある。
中身は自然には見えてこないから、余計に。
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