なんか納得いかないフワッフワな設定を、ロマンチックなセリフとレトロ感溢れる映像でごまかしきった名作映画。
天国の案内人のミスで本来の寿命より50年も早く天国に送られてしまったアメフト選手のジョー。
慌てて現世に戻るも、既に肉体は火葬済み。
何としても数ヵ月後のスーパーボールに出場したい彼は、仕方なく、ちょうど死を迎える別人の肉体を一時的に借りることにする。
その別人とは、彼と年の近いファーンズワースという横柄な大富豪。
彼が妻と秘書によって殺された瞬間を狙い肉体に乗り移る。
殺した男が急にピンピンしだしことに面食らう妻と秘書を傍目に、体育会系特有の能天気さで、屋敷に溶け込んでいくジョー。
公害問題のために彼の事業に反対しに来たべティに運命的なモノを感じ、彼女と親密になっていく。
ファーンズワースとして一生生きていくことを決め、彼はべティにプロポーズをする。
同時にファーンズワースの体を鍛え直して、入団テストを受け、なんとか元のアメフトチームに戻ることに成功する。
全てが順風満帆だったジョーだったが、ファーンズワースの体には再び死期が近づいていた…
という話。
音楽がドラクエののどかな村のBGMみたいな感じで、とても懐かしくて心地良い雰囲気。
デイブ・クルーシンの曲だったんですね。
生き返るためとは言え、まるでハイエナのように死体を求めるジョーの言動には若干引くものがあるものの、何とかロマンチックコメディとしての体裁が保たれている。
米国式能天気がそうさせてるのか、あるいは70年代のユルい空気のお陰かも知れない。
なんしか危ういバランスの上にこの映画は成り立っている気がしないでもない。
目的のもの以外目に入らない純粋さを表現したいのだろうが
一歩間違えると主人公がサイコパスに見えてしまう瞬間がある。
他人の体とはいえ、自分を殺そうとしてくる奥さんや秘書の事を全く気に止めず、普通に接し続ける姿はいくらなんでもおかしすぎる。
それともアメリカのアメフト選手はみんな、タックルを喰らいすぎて、ああいう思考になるのだろうか。
「身分も外見も関係ない。あなたの目の輝きに私は惹かれてる」
ジョーとの愛を深めていくべティの言うこのセリフが、ラストシーンでロマンチックな伏線になる。
外見は違っても瞳の中にその人の魂は現れる。