塚本

天国から来たチャンピオンの塚本のレビュー・感想・評価

天国から来たチャンピオン(1978年製作の映画)
3.8
ジョー・ペンドルトン。

「天国から来たチャンピオン」でウォーレン・ビーティが演じた主人公です。


そもそもこの人ほど日本における表記が時代とともにコロコロと変わっていった例は無いだろう。
マーチン・スコセッシも昔は書く人によってスコシージやらスコセージとバラバラだったが今ではスコセッシに落ち着いています。
アル・パチーノの場合はちょっと違ってまして榊原郁恵の「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」というヒット曲(若い人は知らんでしょうな)のせいで、俺だけ頑なに今でも”アル・パシーノ”と呼んでいます。(そう…お察しの通り、郁恵ちゃんの大ファンだったんです)


…話がずいぶん、それちゃいました。


そう、ウォーレン・ビーティです。俺が当時愛読していたロードショーという雑誌では、確か”ビーティ”と表記していたと記憶しています。それがいつの間にやら”ビューティー”が一般的になり、そして今ではウキペディアでの表記は”ベイティ”となっています。
そのウキペディアによると、1990年に「ディックトレーシー」が公開された時、本人の強い要望によってより発音に近い”ベイティ”に配給会社が変更した、とあります。


話を元に戻しましょう(^^;;


ウォーレン・ビーティを呼ぶとき(日常で滅多にそんな機会はありませんが…)、というか、俺の中での彼 は”ジョー・ペンドルトン”なんですね。


かつて堂島に二本立てで600円という、大毎地下劇場という名画座の老舗がありまして、高校生の頃、いつもそこに入り浸っておりました。「天国から来たチャンピオン」を初めて観たのもこの劇場でして、それ以来半年に一回は上映される同作品を必ず観に行きました。この劇場は一週間サイクルで演目が変わるので、最初は日曜日に観に行き、そのあと平日に学校をサボって(淀屋橋の駅のトイレで私服に着替えて)観に行ったもんです。

今じゃ名画クラシックであるこの名作のストーリーや感想など書くのは野暮といったところでしょう。


なぜ、あれほでまでに俺はあの映画に惹きつけられたのでしょう。


もちろんお話が良くできていたことと、何よりもウォーレン・ビーティ演じるジョー・ペンドルトンが最高にチャーミングだったことは言うまでもありません。
しかし、もう一つ大きな要素として、音楽を忘れることは出来ません。フェリーニの映画におけるニーノロータ調の、ジンタのようなスコア。
ジンタとはそもそもサーカスや映画の客寄せを生業とする民間オーケストラのことで、チンドン屋の原型でもあります。


…あの頃、俺は哀愁漂う節回しのジンタの調べに乗せられて、サーカスに魅せられた大昔の子供のように、何度も足繁く、ジョー・ペンドルトンに会うべく映画館に通ったのかもしれません。
塚本

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