こたつむり

天国から来たチャンピオンのこたつむりのレビュー・感想・評価

天国から来たチャンピオン(1978年製作の映画)
4.0
★ 今にも落ちてきそうな空の下で

ほっこりラブコメファンタジーの王道でした。
水先案内人の手違いで死んでしまった主人公が別人となって生き返る…という物語。今では見慣れた展開ですが、製作年代(1978年)を考えると本作が“元祖”だったりするのでしょうか。

確かにそう考えると粗い部分があっても当然。
復活のルールは曖昧だし、肉体が若返る理由も曖昧。冷静に考えてしまうと、ツッコミどころ満載なのです。

しかし、本作を支配しているのは“優しさ”。
「ツッコミなんて野暮」と言わんばかりの旋律に流されるようにして鑑賞すると、ひたひたと胸の中が温かくなってくるのです。それを顕著に示しているのが大富豪の周りにいる執事さん。とても素敵な配慮に満ちたキャラクタでした。

いやぁ。たまにはこういう作品も良いですね。
荒んだ心が洗われるようで、とても気持ちが良いです。

ちなみに僕が本作を鑑賞したきっかけは某漫画家さんのオススメだったから…なのですが、彼は本作をサスペンスとして定義していました。いやはや凡人では叶わぬ発想ですな。そんなところにシビレて憧れちゃうわけなのですが。

また、その某漫画家さんの書籍には「本作が“魂の形”のインスピレーションに繋がった」とも書いてありました。なるほど。あの“代表作”の重要な設定は本作から着想したのですか。こんな優しい物語から「オラオラオラァッ」に繋がるとは…驚きですね。

まあ、そんなわけで。
重要なのは“魂の形”。
それがじんわりと伝わってくる良作でした。
優しい視点で鑑賞することをオススメします。

あと、最後に。
タイトルからして、ボクシング映画だという先入観があったのですが、これは本作がリメイクだから起きた事象みたいです(オリジナルはボクシングを題材にしている)。そう考えると、本作の存在自体が主人公と同じように思えてきます。やはり大切なのは“魂の形”なのですね。
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