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グロリア 永遠の青春のGreenTのレビュー・感想・評価

グロリア 永遠の青春(2018年製作の映画)
1.0
等身大のアラカン女性を描き、エールを送る映画です。

主人公のグロリアの年齢が定かでないのですが、ジュリアン・ムーアは今年59歳なので、グロリアもアラカンですよね?グロリアは、しょっちゅうアース・ウインド・アンド・ファイヤーの曲がかかっているいわゆる「デスコ」に通ってるんですけど、どこにあんだよ、こんなクラブ?!私はマハラジャ世代なのでデッド・オア・アライブ大好きですけど、今になってみるとアース・ウインド・アンド・ファイヤーめちゃくちゃカッコいいんですよね~このクラブ行きたい!!

成人した子供が2人いて、離婚したグロリアは、このクラブでしょっちゅうナンパされてるんんですけど、この年になってあるの、これ?って思ったけど、LAにはあるのかもね。ここでグロリアはアーノルドと言う離婚した男と知り合い、お付き合いを始めるのだが、アーノルドがジョン・タトゥーロ なんですよ~

ジュリアン・ムーアは、『ブギー・ナイツ』でAV女優役を演じた時、ズン胴の幼児体系にそばかすだらけの肌で、「なんだコイツ~!!」ってすっげーびっくりしたのを憶えています。女優って、みんなスタイルいいと思っていたから、こういう人がいるってことが衝撃だったし、またスタイルいい人ばかりの世界にいてこれを貫き通す、その上映画で惜しげもなく晒す!ってすごいな!って感心したことしきり。

でもこの映画では相当痩せて、却っていいカラダになっている。やっぱトシ取ると衰えたくないと頑張るので、逆に若い時よりキレイくらいな仕上がりになっちゃったりするものですよね。まあ、昔のズン胴の方が個性的で好きでしたが。

グロリアの息子役がマイケル・セラで、まだ生まれたばかりの赤ちゃんがいるのに奥さんと上手く行ってないなんか悲しい男性を演じていて「はあ~」とため息が出た。『スーパーバッド』とか『スコット・ピルグリム』とか、アホな高校生とか演ってた子だったのに、もうこんな役やってんのね~。

私ももうすぐアラカンなので、グロリアが止めた止めたと言いながらタバコ吸ったりマリファナやったりする気持ちが良くわかる。ここまでくると健康よりも「やりたいことやりたい!」って思うよな。

しかしアメリカ人ってのは、離婚してお互いパートナーができても、家族の集まりにそのパートナーを連れて子供たちと過ごす、みたいなことするけど、オープンというか、ドライというか。私はこういう人間関係すでにめんどくさい。

ジュリアン・ムーアしょっちゅうジョン・タトゥーロとセックスしてっけど、正直あんまり見たくないなあって思った。アラカン女性の実態に迫る!セックスを抜きには語れない!これが等身大のアラカン女性だ!ってことなんだろうけど。

可哀そうなのはジョン・タトゥーロのキャラで、奥さんも娘2人もレイジーで、離婚しても依存されていて、逃げられない。「彼女たちは僕を必要としているけど、愛してはいない」って、日本の虐げられたお父さんみたい!

この映画、アラカン男性の方が刺さるんじゃないか?って思った。

でも思いましたよ。アラカンでも恋愛してもいいじゃん!これからよ!とかって思うのはいいことだと思うのですが、やっぱ長く生きて色々な経験をしていると、色々なキズつき方もしている。だから、壊れちゃってる人は修復不可能だなあ~って。何らかの形で壊れている人が多いから、ここから恋愛ってのも難しいなと。

それに、老いていく寂しさや不安で一緒にいるっていうことに全く「恋愛」を感じなかった。しょっちゅうセックスしているのもそうなんだけど、性欲と心の溝を埋めるための相手?こういう関係だと、相手がいても自分の空虚感はどうせ埋まらないのに、なんでこんなややこしい関係を欲しいと思うのだろう?

ラストは日本的に言うと「パワーを貰えました!」みたいなエンディングのつもりなのだろうけど、なにも変わっちゃいない。この映画、ジュリアン・ムーアがプロデューサーなんだよね~。だから自分の世代の女性たちのために!ってリメイクしたんだろうけど、「うーん、やっぱ等身大のアラカン女性の生活なんてドラマになんないな」と逆に落ち込まされるわよ。
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