乙郎さん

ウィーアーリトルゾンビーズの乙郎さんのレビュー・感想・評価

3.5
無料配信にて。
どうしよう。シネフィルに不評なのはわかるけど嫌いになれない。『ホットギミック ガールミーツボーイ』と並べて語られる作品。
ところどころ良いショットを挟んでくるし、ゲーム音楽を意識した劇伴も気持ちいい。ただ、それが映画的快楽なのかどうか判別つかない。
なんとなく岡崎京子の延長線上にあるテーマなのかなと思った。けれど、今こういったことを語ること自体がダサいと思われている(この映画を語るのに「ゲーム的リアリズム」という言葉を使うことほどダサいことはないだろう)。新しい表現とは思わない。
この映画のずるいところは、そういった批評の数々に前もって布石を張ってあるところで、最終的な帰結には納得できつつも(おれも絶望はダサいと思うよ)、ストレートになりきれてないんじゃないかと感じた。
ただ、それでもこの映画を否定しきれないのは、完全に個人史的な部分。今まで摂取した表現と、自らのシュトルム・ウント・ドランクの一致によるところが大きい。非映画的編集で切り刻まれる肉体は、分かりやすいゾンビ表現と思いつつも、惹かれる。
『熱帯魚』に続けて高層ビル街を魚が泳ぐイメージショットが出てくる映画を二本連続で見た。このような無意識のチョイスをできるのがシネフィル。
乙郎さん

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