たかが世界の終わり

人間失格 太宰治と3人の女たちのたかが世界の終わりのレビュー・感想・評価

4.0
何回も何回も観た作品
レビュー投稿を忘れておりました
蜷川実花様のハイセンスな映像美術に
度肝を抜かれます

特に女性キャスト軍の
濃過ぎるまでの個性、艶やかな演技に
たまらなく心を掴まれました

私の個人的な好みで2人語らせていただきます!

【太田静子(沢尻エリカ)】

太宰に心無い扱いを受けても
一貫して彼女は負けん気の強い
凛とした女性であり続けます

私も昔日記何年か書いてたけれど
恥ずかしくて全部捨ててしまったこと、
少し後悔しました

でも特に静子さんのような
聡明な言葉も名言もなかったです(笑)

無論、愛も革命も
その本質は知りませんでしたので
当時好きだったクラスメイトへの思いを
ひたすらに書き続けてた淡い青春期…

と、そんな私の話は今は他所へ置いておきます

愛を信じ抜いた静子さんの
勇気ある生の歩みを祝福するように
画面いっぱいに咲き乱れる梅の花

揺れる鮮やかな桃色のワンピース

あれは本当に幻想的なシーンです

【山崎富栄(二階堂ふみ)】

「一日中会えなかった日はね
少しでも近くにいたくて
貴方の家のそばにずっと立ってたりするの
気づいてた?
私を感じた?」

太宰への狂信的なまでの恋心で
次第に自分を追い込んでいく彼女

昼下がり、柔らかな日差しに照らされる中
彼と体を重ねつつ
震える声で呟きます

「私ばっかり 幸せでごめんなさい」

彼女にとって太宰は生きる意味でした



厳しい冬が訪れます
彼の吐く赤黒い血が純白の雪を染め
太宰の刹那的な人生は
一気に崩壊し、ついに終焉へと向かうのです

小説と女と酒に溺れた1人の男の
狂乱的な生き様を、美しく感じてしまう
太宰の紡ぐ言葉の力が恐ろしいです


p.s.「大丈夫 君は僕が好きだよ」
太宰のこのセリフが、あまりに好き過ぎて口癖になっております(今すぐやめろ)言われたい.....そして勿論「ねえ 私がそう思ってた ってどうして貴方には分かってしまうの」と泣きそうな声でお答えします。