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人間失格 太宰治と3人の女たちのhynonのレビュー・感想・評価

3.6
前半と後半でかなり違う印象でした。
前半。凝りに凝った映像美と、美しい人たちと、詩のような台詞と。
そのぶん内容が浅く、太宰治のPV?という感じ、、

もともと蜷川さんの色彩はわりと好きで、映画も全部観ていますが、今回ばかりは色彩やアイテムが映画に馴染んでいない(浮いてる)気がしました。

前半、映像は美しかったんですが、カラフルすぎて、花とか使いすぎて、どう?この画もこの画も綺麗でしょ?というわざとらしさと押し付けがましさを感じたのは否めません。
なんか気が散って内容が頭に入ってこない、、、

映画って、映像や音楽や台詞やストーリーや、さまざまな要素が組み合わされて成立しているもの。
映像だけが悪目立ちしてしまうとしたら、それはスチール写真なら素晴らしいけど、映画としてはよろしくないかな、と。

後半は一転して、映像もやや暗さを帯びてきます。
相変わらず花とか蝶とか血とか、いかにも的なアイテムで彩られてやや興ざめします。雪が映った時点で、雪の上に血吐くな、ってわかってしまいます。

しかし後半になると人間ドラマがぐっと深みを増してきて、そちらにフォーカスが移ります。

ろくでもない人間なのになぜか女に愛される太宰治のキャラクターも、それなりに説得力がありよかった。
脇を固める俳優さんの演技もさすがでした。
藤原竜也の出番がもっとあれば嬉しかった。

小栗旬の演技は藤原竜也に似てきた気がします。
「俺はぁぁぁ!!」って今にも言い出しそうでした。
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