yukky

人間失格 太宰治と3人の女たちのyukkyのレビュー・感想・評価

3.5
◾︎一言
「愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思わない。(太宰治)」

◾︎選んだ理由
沢尻エリカと小栗旬を拝むため

◾︎こんな人にオススメ
蜷川実花の作品が好きな人
小栗旬が好きな人

◾︎感想
▪︎ストーリー
「愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思わない。」と太宰は言った。(『雌について』)

いのちがけの愛とは何だ。
太宰の愛は、文学だった。
三人の女性から、それぞれの愛を尽くされ、そして"書く"ことを愛し続けた太宰が遺した、その文学を未だ私は読んでいない。

文字なのか、体温なのか、𠮟咤なのか。
それぞれの女性が欲しがり、あるいは与えた"愛"は異なる。
どの女性も、一心不乱に強くて脆く、それがとても美しかった。
彼女たちや太宰から究極の"一方的な愛"を感じ、むしろこの映画の美しさはそこにこそあると思った。

そして、これを書きながら万引き家族で書いたレビューを思い出し読み返すと、今私が感じていることとは違って
「愛は一方的には抱けない」というようなことが書かれていたので、
愛は永遠に考え続けられるテーマだなと思った。笑

そんな愛についての話をより際立たせたのは、蜷川実花の"美"の暴力。
彼女の、押し付けがましい色鮮やかな芸術的映像にしっかり酔った、良い夜だった。

色という色が脳裏に迫ってきて、気持ち悪くなるくらいの目覚ましさ。青と赤の対比が印象的だった。
太宰の見た愛の激しさを視覚的に感じることが出来た。

この映画は、私に"太宰治の小説を読む"という機会を与えてくれた。いいな、こういうの。

▪︎その他
沢尻エリカ、本当に美しい。美しくて、可愛い。終始見惚れていた。

そして流石の宮沢りえ。歳を重ねた美しさが際立っていた。
彼女の演技がこの映画の全てのようなものだったと言っても過言ではない。
特にインクのシーンは印象的だった。
宮沢りえも、大変だったシーンとして挙げている。
撮影が終わりスタッフ皆が泣いていたという。

蜷川実花「彼らの芝居をすくいあげてシーンを成り立たせられたのは、りえちゃんだから。全て受け止めて美知子でいてくれたから。今思い出しても鳥肌が立つ撮影でした」(映画公式Twitterアカウントより)

◾︎この映画を観た人にオススメ
・ヘルタースケルター
・紙の月
yukky

yukky