銀色のファクシミリ

人間失格 太宰治と3人の女たちの銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

3.8
『#映画人間失格』(2019/日)
劇場にて。正式な題名は『人間失格 太宰治と3人の女たち』なのですが、正確な題名は『3人の女たちと太宰治』だと思いました。太宰治との出会いで人生に大きな影響を与えられ、また彼の人生を終わらせた3人の女の物語。

太宰治の妻、愛人、心中相手。彼女たちが太宰治と出会い、彼を知った上で、彼から何を得たのか。彼に何を許し何を許さなかったのか。それを描く120分。小説家の葛藤と情念の物語、それと蜷川監督の作り出す美しい映像世界にも親和性を感じました。

主役たる4人の俳優、小栗旬、宮沢りえ、二階堂ふみ、沢尻エリカのそれぞれの熱演は文句なしで、この映画最大の見どころ。妻、愛人、心中役にズバリと嵌った所作と立ち振る舞い、それぞれが魅せる太宰への傾倒ぶり。そこから醸し出される、太宰といる時の三者三様の雰囲気は最高だったと思います。

太宰と3人の女の苦悩と葛藤と幸福、最後の心中まで見せて、それでいて4人ともにハッピーエンドだと思わせてしまう物語。蜷川実花監督作品では、過去最高の出来だと思えます。ここになにも足せない。いじればまったく別の映画になってしまう。後は好みの問題だと思います。感想オシマイ。
(2019年9月23日感想)