赤足

ジョジョ・ラビットの赤足のレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
3.9
第2次世界大戦下のドイツを舞台に描くヒューマンドラマ。ヒトラーを空想上の友人に持つ少年の日常をシニカルコミカルに映し出す。

JOKERと同時期にトロント国際映画祭で観客賞を取った時に、先ずストーリーから、これは見たいと期待していた作品!

10歳の主人公ジョジョの目を通し戦争と人間の本来の在り方を考えさせられた気がした。戦争ものなら普通は重く悲しいテーマやストーリーになるところなのだが、監督は「シェアハウスウィズバンパイア」「マイティ・ソー バトルロイヤル」等で独自の世界観とユーモラスを得意とする。タイカ・ワイティティ監督ならでわの手腕がピカイチに光っており!頭から妄想の親友ヒトラーと対話するシーンは、かなりぶっ飛んで!しかもヒトラーを監督自身で演じてるから尚面白い(笑)

ユダヤ人に対するかなーり濃いめのブラックコーヒー並のジョーク💦やなんかも目立って、バックではビートルズの曲が流れたりと時代背景を感じさせないところも、また斬新で冒頭から前半は脳内麻薬か葉っぱやってるんじゃないかと言うような勢いから、ユダヤ人の女の子や母親との関係、特にスカーレット・ヨハンソン演じる母親にはベストマザー賞があるなら贈りたいほど一人の母、そして父親代わりと息子を愛する気持ちがとてもよく表されて良かった。

ジョジョの子供なら誰しも幼少期の妄想に狂うかのようなナチ狂から本来の心優しい子供という一時の成長を微笑ましくも切なくユーモラスに描きラストあたりはウルっと来てしまったが、そこは泣かさず気持ちいい締め方で終わらせてくれたタイカ・ワイティティ監督の才能とセンスを感じざる得なかった。タイトルともなっている、ジョジョラビット、冒頭でヒトラーがジョジョに言った言葉もラストでは対になって愉快痛快で本当に気持ちのいい作品であった。



どんなに悲しみを背負っていたとしても、自分を支えてくれる物、自分を包んでくれた人や思い出、心を寄せる宿り木になれる場所があるから人は前へ歩き出せる。一歩一歩踏みしめて歩いていく事ができる。
赤足

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