ヨダセアSeaYoda

ジョジョ・ラビットのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.5
観た回数:1回
直近の鑑賞:映画館(20.01.17)
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《まとめ》
●同時期公開のライバル達より観やすい
●ほっこりなキャスト達
●撮影の構図や衣装も印象的
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【STORY:10歳のナチス少年を追う】
10歳にして、かなりナチス思想に傾倒しているジョジョ少年。大人達の言動を信じ、ユダヤ人には角が生えていると思い込むほどの洗脳っぷり。
彼の周りの人々ーしばしば側に現れる空想のヒトラー、単身で彼を見守る母親、訓練キャンプで出会った上官、そしてユダヤ人の少女…彼らはジョジョの人格にどう作用していくのか。


【温かみを纏った観やすい感動作】
現在(20年1月)日本で公開されている作品は、アカデミー賞級の傑作揃い。間違いなく今作もその中の1つであり、更におそらく1番観やすい作品だと思います。

味わい方を考えると少し、観る人を選びそうな『パラサイト』。
観れば最高ですが、予告編的に万人受けしてなさげな『フォードVSフェラーリ』。

それらライバルの傑作達に比べ、

今作は
●可愛い少年が主人公
●誰もが知る、ヒトラーやナチス、ユダヤ人達の歴史を元にしている
●MCU出演で知名度が世間的に頭一つ抜けている女優、スカーレット・ヨハンソン出演
●コメディ感があり観やすそうな予告
●内容も非常に分かりやすく、真っ直ぐな満足感を味わえる

といった強みを持っています。
観た後も、期待以上の作品だったと自信を持って言えます。


【ほっこりなキャスト達】
今作はナチスのユダヤ人弾圧という重く悲しいテーマを扱ってはいるのですが、メインは10歳の男の子の変化を描く作品です。
そのため、重苦しい空気よりは、全体的に可愛らしさ、温かさが溢れる空気が大半を占めています。
キャスティングも見事で、主演ローマン君を中心に皆で温かい雰囲気を作り出しています。

主人公ジョジョ役のローマン君はとても可愛く、演技もしっかりこなします。今作が初の映画作品だなんて、信じられません…
今後への期待が高まりますね。

スカーレット・ヨハンソンは最近の他の役に比べ、活力に溢れた可愛らしい演技を見せてくれます。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』では悲劇が後を引く中で覚悟の戦士と化しており、『マリッジ・ストーリー』でも感情を押し殺すような場面が多かった彼女ですが、
今作では単身でジョジョを見守りながら、元気とユーモアで息子を導こうとする良き母親役。そのため基本的に明るい演技が多く、よく映画の舞台裏動画で見せるような、彼女の面白く可愛らしい面が押し出されています。

ユダヤ人の少女を演じるトーマサイン・マッケンジーも、色々な役柄が似合いそうな可愛らしい美人さんですし、

忘れてはならないキャプテンK役、サム・ロックウェルも、どことなく温かさが滲み出るような役でした。

そしてもちろん、監督タイカ・ワイティティ演じる空想のヒトラーも、やはりユーモラスな表情や仕草で可愛らしくなってしまっています。


【構図で描く伏線に鳥肌】
今作には、少し意識して画面を観ていればおそらく印象に残る、ある特徴的な構図があります。
その特徴的な構図が、後の大きな展開に繋がった事に気づいた時、その展開に涙腺が緩むと同時に、構図で伏線を描いたセンスへの鳥肌も立ちました。


【衣装選びが素敵】
あくまで史実を元ネタに作られているため、衣装選びの幅も限られてはいると思うのですが、衣装がとても素敵で目を引く作品です。
特に主役親子の私服が非常にオシャレで印象に残りました。青緑色のコートは、ママの象徴になっていますね。

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【個人的ランキング】

《2020年日本公開ベスト10》
①燃ゆる女の肖像
②パラサイト 半地下の家族
③フォードvsフェラーリ
④TENET テネット
❺ジョジョ・ラビット
⑥Mank マンク
⑦シカゴ7裁判
⑧ザ・プロム
⑨レ・ミゼラブル
⑩スウィング・キッズ
ヨダセアSeaYoda

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