ニシカ

ジョジョ・ラビットのニシカのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.2

「自由になったら何がしたい?」

「踊りたいわ」



目の前に存在している人や世界が戦争に盲目的に狂い飲み込まれていく様を10歳の少年の目で写すことで、悲劇の中に喜劇を展開させる驚きの手腕で物語が進む。ナチスに傾向していた10歳の少年ジョジョが信じていた世界を変えたのは、心に宿し続けた空想の人物じゃなく、悪魔と教えられていたユダヤ人の女の子や自らを犠牲にジョジョを救う軍人や母親の愛であった。自ら経験し知ることで少年の世界は喜劇の色を潜め、凄惨な戦争の現実が姿を現す。

戦時ゆえに常に死と隣り合わせの日常の中、"大切なことは何であったか" "強いとはどういうことか"を少年の成長をを通してあらためて我々は追憶する。

未来を作るのは少年と少女であり、生き延びた2人は踊り始める。悲しいのに希望を感じるラストシーンの語り尽くせぬ素晴らしさ。

これぞ映画な傑作。
ニシカ

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