koyamax

ジョジョ・ラビットのkoyamaxのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
5.0
自分の目で確かめる。

第二次大戦下のドイツ。ヒトラーを崇拝する10歳の少年の目から観た世界が描かれます。そんな少年が本当の格好よさを学ぶまでのお話です。

あんまり注目していなかったんですが、劇場まで足を運んだ理由としては、この少年にはイマジナリーフレンドが存在し、人形や動物、なんかではなくそれがなんと「ヒトラー」というところ。一見際どい意外すぎる設定なので気になっていたのですが。「え?」と思っている間にいきなりひきこまれてしまいます。

第二次大戦中のドイツといえば、ホロコーストなどもあり世界的には極悪の存在。ヒトラーなどはその最たる存在です。
しかし、最初に出てくる少年は無邪気でかわいい。。キラキラしてる。。
その後に出てくるヒトラーユーゲントのキャンプ中の少年たちも、無邪気でかわいい。。ナチスのイメージといまいち結びつかない。。

そこから主人公の名前の由来となる「ウサギについて」の展開になり、いきなり「死の匂い」がただようと同時に「少年の心」に接近してから先はもう、その世界の中にいる気分になるほど没入できました。

登場人物ジョジョをはじめ、脇役のキャラまで全て、ある意味ユーモアと可愛げがあるキャラでした。と同時に精神的、肉体的な痛みも存在し、多面的な状況、多角的なところから捉えた人物像を各キャラが構築していた点、忘れられない映画になったのは間違いなくここにありました。(素晴らしいキャラしかいないので、だれか突出して書き出すことが難しい。。)


第二次大戦中のドイツという負のイメージど真ん中のものと正面から向き合いながらも、誰もやっていないようなやり方で笑いと愛を描いてくれたところはやはり素晴らしいですね。
心に宿るイマジナリーフレンドとの決着を通して少年の成長を描く王道の流れもありましたけど、なにより劣悪な環境下に笑いを用いて愛を描いたことが凄いですよ。それは安易なことではないような気がします。

キャラ、物語、そして今回の世界観は、「世界の真実は自分の目で確かめるべき」というテーマにもつながり、どこから観ても語れる映画だった気がします。

個人的に何らかの縛りで作品を選んで観ているわけでは無いですが、ラストに最近観る映画で何かと縁がある「あの方」の曲が流れてきたところで打ち震えました。

些細なことですが、120分以内という短かめな尺でおさめたことも素晴らしいところです笑
koyamax

koyamax