Hiroki

ジョジョ・ラビットのHirokiのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.2
ロシア系ユダヤの血を引くタイカ・ワイティティが戦時下のナチスドイツのコメディ映画を企画して自らアドルフ・ヒトラーを演じる。そこにいったいどんな想いや感情や意志があったのだろうか。観終わった後にそんなことをぼーっと考えた。

とにかくこの作品の素晴らしさは“緊張”と“緩和”。
基本は主人公ジョジョことローマン・グリフィン・ディヴィスのナチスに傾倒する少年をユーモアたっぷりに映しているので、ほっこり笑えるシーンの連続。
そこに愛情豊かな母のスカーレット・ヨハンソン、軍人なんだけどどこか憎めないサム・ロックウェル&アルフィー・アレンのコンビ、ちょっとイっちゃってる女軍人のレベル・ウィルソン。
周りの演技も和やかに朗らかに秀逸で、戦争映画じゃなくてシットコムを観ているのかと見間違うほど。
ただやはりそこは戦争映画なのでムードの中に突然の悲惨なシーンを挿入してくる。このタイミングとか強度が本当に絶妙。
スカヨハの靴のシーンというのはまさにその最たるもの。あのシーンは本当に息がつまるかと思った…
この“緊張”と“緩和”のバランスが本当に素晴らしい!

そしてラストシーン。
これも近年稀にみる秀逸な出来映えだったとおもう。
最後のボウイの『Heros』がかかった瞬間、なんかいままで我慢してた涙が一気に流れた。
音楽ってやっぱり素晴らしいなー。

あと何と言ってもサム・ロックウェル。
相変わらず“ヤバイけど愛のあるやつ”を演じさせたら最強なんだけど、これでも今年はオスカーノミネートされてない。
今年の助演男優賞はかなりのベテランばっかりだから年功序列か。アメリカでもそういうのあるんかな…

2020-3
Hiroki

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