あおや

ジョジョ・ラビットのあおやのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.0
舞台は第二次世界対戦下ドイツ。十歳の少年ジョジョは、ある日自宅の隠れ部屋にユダヤ人の少女が隠れていることに気がつく。ナチスを信仰するジョジョの中でユダヤ人は“怪物”。はじめは嫌悪感剥き出しのジョジョであったが、徐々にユダヤ人少女エルサが自分と変わらない“人間”であることに気が付いていく。

戦争という重苦しいテーマを、十歳の少年の視点からコミカルに描き出している点は数年前の邦画アニメーションヒット作『この世界の片隅に』にも通ずるものがある。まさに【ライトに観られる戦争映画】でありながら、戦争の残酷さ、無情さも随所でしっかりと織り込まれている。このバランスがとても良かった。

あの時代、あの場所で生まれた少年のいわば“当たり前”に形成されてしまうアイデンティティーたる部分が劇中登場する【ヒトラー】であり、彼との対話を通してジョジョの心境変化はわかりやすく捉えられる。そんなヒトラーを蹴散らし、ユダヤ人エルサと外へ踏み出し躍りだすラストはとても好きなシーンである。
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