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ジョジョ・ラビットのKanaのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
5.0
1945年のドイツを舞台に、お伽話みたいに可愛くて残酷なラブストーリーを、溢れんばかりの愛と勇気で包み込んだ切ないコメディ映画。
最上のエンターテイメント!
戦争映画を見てこんなにハッピーになれるとは思わなかった!
というかこれは戦争映画じゃない。
ファンタジーとも、ラブロマンスとも言える、ジャンルを超えたヒューマンドラマ。

スカーレットヨハンソンとサムロックウェル最高!!
たった数十分間で登場人物みんなを好きになってしまって、こんなに愛すべきキャラクターを描いた監督の素晴らしさには脱帽です。
監督演じる独裁者チャップリン、ではなくヒトラーすら好きになってしまったんだから。
クスクス笑いや思わず吹き出してしまう瞬間、遠慮がちに鼻をすする音で、劇場全体からジョジョへの母性愛を感じました。
ハイルヒトラーって一緒に言いたくなってしまった笑

人は間違いを犯すものだから…なんて簡単な言葉では済ませられないけれど、どんなに絶望的な世界にも愛はある。
ジョジョラビットとはなんだったのか。
か弱いうさぎか、うさぎを飼うものか、弱きものを傷つけないものか、愛しきものを守るものか。
ドイツには中世から残る多くの教会がありますが、そのいくつかには聖堂の中に当時の写真が、自分たちの狂気と破壊と再興の歴史が展示されています。

戦争とはなんだったのか。
戦争を肯定する人は今の時代にはいませんが、ただ一言「悪」として、無意味なものとして片付けるには色々なことがありすぎました。
今でも戦争は続いているし、全ての人間がスタンドアローンコンプレックス化でもしない限り、殺し合いをやめる日は来ないのかもしれません。
戦争が生み出した夥しい数の悲劇と死体、その影で語られる英雄譚…でもそんなの全部クソ喰らえというのがこの物語。
戦争?
何それほんとに楽しいの?
そんなものやめてみんな愛を語ろう!
一緒に踊ろう!
っていう。

この映画を語る上でもう一つとても大事なことがあって、世界を平和にする魔法が伝えられていました。
恐れずに人を信じること。
なんてシンプルで尊い言葉なんだろう。
これが本当に出来たら、家族も友人も職場も世界もみんな、平和な世界になるんだろうな。

それにしてもサムロックウェル、グラサンかけて仁王立ちする姿を見た瞬間、声を上げそうになりました。
あんなに憎らしかったのに、すっかりファンになってしまいました。
あとシオングレイジョイが活躍しててよかったです笑
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