中庭

ジョジョ・ラビットの中庭のネタバレレビュー・内容・結末

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

池袋シネマ・ロサとグランドサンシャイン池袋で1週間おきに2度鑑賞。
終盤の戦場で時空が歪む。俯瞰的な兵士の配置図、個々の顔、死体、銃器を放つ敵兵など直接的な映像が排され、戦闘そのものの全体性が覆い隠される。これまでの登場人物たちが次々とスローモーションで現れては消え、まるで全員死んだかのような無情なイメージで、呆然とするジョジョの横を駆け抜けてゆく。ジョジョのクローンたちが手にばらばらの武器を持って走り、女教官やヨーギーさえ不幸な結末を迎えたように見えるも、やけに祝祭的な空間としてあの戦場は作り上げられていた。
教官のゲイ描写は、映画史的な知に沿い、出しすぎるか否かぎりぎりの境界を狙って演出されていた(それでも多め)。
母の死を嘆くジョジョを見下ろす目を模した家々の屋根裏の窓が三度も繋がれる。母の足元はいつもスクリーン左上の高めの位置に現れ、ジョジョを魅了しては同一ショット内で下部(ジョジョの目線より低いところ)へ降りてくる。水平に置かれることが多かったが、カメラの冴えたポジショニングが高低差の魔力を生むシーンは他にも随所に登場する。塔の上からいじめの標的を探す訓練教室の年長組、椅子に立つ母のダンス、ゲシュタポリーダーの過剰な背の高さ、首吊り、派兵の乗ったトラックからの視線の転覆(行きはジョジョを高圧的に嘲笑うも帰還時は無言、母に「帰ってママにハグを」という台詞を投げかけられる)。
戦争が終わり外に出た二人が、一連のやりとりを経た後、決して同じショットにおさまることなく律儀な切り返しで踊り合うエンディングは二回とも号泣した。ドイツ語で叫ぶデヴィッド・ボウイも最高。
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