Inagaquilala

ジョジョ・ラビットのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.2
この作品のタイカ・ワイティティ監督は、父親がニュージーランドの先住民であるマオリ族の出身で、母親はロシヤ系ユダヤ人とアイルランド人の家系だ。ワイティティ監督は、ニュージーランド時代はコメディ系の劇団で俳優として活躍していたというから、この作品に流れているユーモアも、そのキャリアに由来するものだろう。作品は、第二次大戦下のドイツが舞台。立派なヒトラーユーゲントになろうとしている10歳の少年と、ナチスとの対決も辞さない勇敢なる母、そして彼女が匿うユダヤ人の少女、この3人の交流がこの作品の描くところだ。

主人公のジョジョの、「架空の友だち」(アドルフ・ヒトラーにそっくり)をワイティティ監督が自ら演じていて、これも元コメディアンの味を充分に生かしきっている。前半は、コメディ調に進むのだが、後半に入ると、一気に戦争に対するリアルな視点を感じるようになり、いろいろと考えさせられる作品にもなっている。そのあたりのワイティティ監督のアプローチは、なかなか素晴らしく、人種問題に対する考え方もしっかりしているようにも思える。コメディの形をとりながら、なんらかのメッセージを訴える作品は、自分としては嫌いではない。むしろ好みだ。ワイティティ監督がメガホンをとった「マイティ・ソー バトルロイヤル」も観てみることにしよう。たぶん、一筋縄では行かない作品となっているに違いない。ワイティティ監督は、この作品でアカデミー賞の脚色賞を受賞した。これから期待できる監督の1人として記憶しておこう。