友ニ

バルーン 奇蹟の脱出飛行の友ニのネタバレレビュー・内容・結末

バルーン 奇蹟の脱出飛行(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 東ドイツ版ショーシャンク レデンプションですね。自由への、もっと良い暮らしへの脱出劇。決して希望を捨てない。

 しかしこれが実話ということが信じられないです。やりきった二家族はさぞや神経がすり減ったのではないでしょうか。
 熱気球というアイデアは、思い浮かびこそすれ、いざ実行するとなると死も覚悟しなければならないでしょう。(ロマンはありますね、不謹慎ですが…。)
 しかし一度失敗したあとだけに余計二の足を踏んでしまいます。
 母親が持病の薬をゴンドラに落としてきてしまったことに気づいて取り乱してしまうのも、彼女には相当なショックだったでしょう。
 
 それでも脱出しようと家族が一丸となっている。父が母を気遣い、母も気丈に振る舞い、息子も協力し、友人の夫婦と団結し、幼い子供達にも言い聞かせ、捜査が迫る中、あれだけのものを作り続ける胆力は、この生活から脱したい、西へ行けば良い暮らしができるという、ただその一心からだったのでしょう。

 国民にそこまでさせるという、今から思うと当時の共産主義というのはなんだったのでしょう?
 一応、自由主義圏に住んでいる私には考えが及ばないほど、人々にとって精神的な苦痛だったのだと思います。
 いったい何人の方が脱出を試みて、亡くなったのでしょうか。

 最後、ベルリンの壁崩壊をTVで報じているシーンを見て、家族が一応まともな暮らしができてそうだったので、安心しました。
 父親は素直に喜べたのでしょうか。そう信じたいですね。
 
友ニ

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