ホンのシネマ

新聞記者のホンのシネマのネタバレレビュー・内容・結末

新聞記者(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

『ヤクザと家族 The Family』を観て、前々から気になりつつ、観ていなかった『新聞記者』を観ようと思い立った。
日本アカデミー賞でも話題だったし、本当は劇場へ観に行きたかったんだけど見逃していて気になっていたし……と、気軽な調子でNetflixで観たんだけど、最初からずっと気を張ってしまっていて、見終わった頃にはぐったり。
それくらい骨太な作品だった。
もっと早く観ればよかった。


実際にこんなことが起こっているのかどうかは、もちろんわからないし、ニュースとして出てきている事件の詳細はわからないんだけど、「こうなのかもしれないなあ」と思わせる自然な話の流れ、そして、主人公である新聞記者・吉岡さんが帰国子女でちょっと日本語が拙いところ(もちろんめちゃくちゃ日本語上手いのですが、日本人のキャストではなくシム・ウンギョンさんを起用したところがとても良い)が、作品に奥行きを与えていてめちゃくちゃいいなあと個人的に思いました。
これが、日本の人気若手女優とかであれば、全然作品の良さが出てこなかったし、ここまで心に響かなかったんだろうなあと。(私的には、ですが)

物語は、実際に起こった事件を思わせるようなことや、その裏で苦悩する政府側の人間・松坂桃李くん(「あの頃。」の試写を観た後だったので、もう役者さんの凄さを目の当たりにしました。あんなオタクっぽい演技から、こんなエリート役まで!)、新聞記者である吉岡さんを中心に進んでいきますが、元上司の自殺からの後半の展開は、もうすごい勢いで作品の中に引き込まれていってしまい、私自身もなんだかずっと泣きそうになってしまった。

彼らとともに、一緒に戦っているような感覚になり、証拠集めや記事を書いていく場面、そして新聞の一面に掲載された瞬間、見ているだけなのに肩に力が入ってしまう。
安っぽい正義感かもしれないけれど、「一緒に陰謀を暴くんだ!」と入り込んでいる最中、突如終結……。

最後のセリフは音声が入っておらず、はっきりと何を言っているかわからないものだけれども、やはり「ごめん」と言っているのでしょうか?
そのまま暗転。
クレジットが流れ出します。
この行き場のない正義感はどうすればいいの?
と放心状態で、一緒に観ていたはずのダンナ氏と語り合いたい! と隣を見たら彼は寝ていました。(どこに寝る要素があったんだ!?)
そのままの勢いでこのレビューを書いています。

なんか、わーっとなっていますが、こう思える作品ってあまりないので、とりあえず、今感じたことをメモがわりに書いておきました。
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