とても丁寧に真剣に作られた映画だ。演じる俳優も監督やカメラマンの意気込みにしっかりと応えている。社会問題にもなっているSNSのネガティブな一面を題材に、オブラートに包むことなく「組織に生きる個人の葛藤」に向き合っている。緊張感のあるあっという間の120分だった。
とても満足度の高い映画だが、それ故に、惜しいと思った点が最後のシーン。そっちで終わるのか！と思った。好みの問題かもしれないが、娘と妻の前で見せた涙の覚悟を貫く男として描いて欲しかった。人間の弱さを描く映画も決して嫌いではないが、組織に抗って突っ張る姿を期待したのは事実だ。
