とっても点数つけるの難しい映画だな。
抑圧的で能無しのくせに支配欲だけは旺盛な下劣で強権的な政権下の元でほぼどストレートな事相を映画の中にガンガンぶちこんできた。その気概と覚悟には素直に敬服するよ。
御用ジャーナリストの強姦容疑の逮捕状握り潰し、加計学園、SNSを自己責任論とセカンドレイプ、批判者へのデマ誹謗中傷で溢れさせ政権批判から目を逸らせるための世論操作としか言い様のないネット工作。
このよく知ってる腐敗、欺瞞、卑劣を全部リアルに再現してる。
しびれたよ。こーゆー自国の闇に批判的スタンスで鋭く切り込んだ映画、日本だけ異様に少ないじゃん、最近、昔はあったのに。
よーやく出てきたかって感じ笑
が、しかし、この映画、残念なことに出来が悪いって言うか、なんかショボくて雑なんだよ。
内閣の汚職を握り潰し批判者を陥れる工作部署である内閣情報調査室の薄暗いライトの下で無言、無表情でパソコンに向かいネット工作に勤しむ官僚達とか、室長の昔の劇画みたいな演技にセリフ回し、全部がこうなんっつつーか、使い古しのテンプレって感じで、観ててガックリくるんだよ笑
画質やカット割りなんかも、テレビの事件ものの再現ドラマみたいだし、今の映画と言うにはあまりに安易で遅れているんじゃないのかと、、
先輩官僚が詰腹切らされて自殺に追い込まれたことで、自分のやってることに疑問を懐き国の不正をリークする内閣情報調査室の松原桃李にしても、所謂一般芸能のスターでありながら、今後のキャリアに影響が出てそうなリスキーな役を引き受けたことに尊敬はするけど、演技自体はやはりテレビ的なベタさを強く感じて不満。テレビ的ってより一昔前の難病モノや死んだ人が生き返ってくる涙搾り取り系映画のメソッドかな？
どっちにしてもいいとは思えなかった。
それとこれは松原桃李のせいじゃなくて脚本のせいなんだけど、先輩の自殺で正義に目覚めるのが何とも陳腐に感じた。個人的なことではなく状況を自身で感じて自分には劇的なことはなくても権力に対峙するって方向にして欲しかった。
韓国映画はそこうまくやってるよね。"タクシー運転手"のソン・ガンホが政府の虐殺を伝えようと本気で思った瞬間とか参考にしてほしい笑
そしてもう一方の主役、社内が権力に忖度する中で怯まず政権の嘘を暴こうと奔走する女性新聞記者、これ東京新聞の望月さんがモデルなんだけど、演じてるのが韓国の女優なんだよね。
だから仕方ないのかもだけど、日本語がかなり独特なんだよ、一応それに見合った設定はつけられてるけど。
しかし、ここまで日本語が辿々しい（お嬢さんに出てくるハ・ジョンウと同レベル）と複雑な事件の取材とか無理かなって思ってしまうんだよな笑
なんでも、政権から睨まれるの怖れて日本人女優がみんなオファーを蹴ったらしい。納得しかないよね笑
そんな感じだけど扱う事相と展開が興味深いからシリアスに観れてたんだけど、終盤で徹底的にしらけた、、
オチと言うか最後に浮上する政府の企みがあまりに荒唐無稽で「はひっ！？」ってなっちゃったよ笑
それとこの「はひっ！？」な企みのためにこれまでの政府の悪はあった的な、全ては壮大な計画の布石だったって話になるんだけど、これにはマジでガッカリした。
だってさ、散々安倍政権をトレースする形で進めてきたわけじゃん？言い訳できないぐらい直球で！
この政権が悪事にしたってそんな遠大なビジョンを持って計画的にできる力なんかないってわかるじゃん。
行き当たりばったりに利権やエゴを押し通そうとして、それをあらゆる嘘と屁理屈と卑劣な手段を使ってその場しのぎで誤魔化すこしか能がない政権なんだよ。
要するに無理くり映画的な立派な悪になんか仕立てるなよってこと！
読んでお分かりとおり、ほとんど悪口しか書いてない笑 なので点数は気概と志にだけ与えたもんです笑
しかし、悩ましい。バンドでもいるよね、コンセプトや狙いは好きなんだけど肝心な曲が残念すぎるやつ。
切り捨てもできないけど、積極的に人にオススメもできないみたいな笑
とりあえず、この監督の次作は見てしまいそうな笑
