ゆーさく

新聞記者のゆーさくのネタバレレビュー・内容・結末

新聞記者(2019年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

政府で働く松坂桃李が汚い仕事に嫌気がさして、地方紙の新聞記者と協力しながら政府の不正を告発しようとする話。


松坂桃李がずっと陰気。
どんな不幸な人生送ったらこんな景気悪い顔になるんやろって思って観てたら、高級タワマンに住んでて嫁が本田翼やった。

そりゃ汚い仕事ぐらいやらされるわ人生なめんな。
序盤でいきなり松坂桃李に反感抱いた。



森友学園の文書改竄とか、伊藤詩織のセカンドレイプといった、最近の政治問題を意識した展開を盛り込み、現政権を揶揄するような作り。政治的意図むき出しやな。


作り手の意志や時代への視線を表明することは映画の大事な役割やし、あらゆる芸術はそうあるべきだと思う。

だからこの作品、とても正しい姿勢で作られてると思うし、そこは好感持てる。



でも、あんまりサスペンスとしておもろくないよな!話が!

オチがあまりにも陰謀論。というか露骨にフィクション過ぎるし!取って付けたみたい!

森友会計とかネット工作とかリアルな部分引っ張ってきて、擬似ドキュメンタリー的作りでのめり込ませておいたのに、突然いかにも作り物な真相をぶち込んできたので一気にピント狂った。

リアル路線で走ってたのに急に路線変更。大味B級ポリティカルサスペンスみたいな展開。これはダメやと思う。

最初から思い切りフィクションでやってくれてたら、あぁそういう世界観なんやなって納得したけど。

あんだけ「これが現在のリアルな日本の政治の在り方ですよ、みなさん!」感出しといてそりゃないですぜ。そこは最後までリアル一筋でいかないと。

派手な真相も巨悪の存在も別に無くて良かったのに!

「そんなちっぽけなメンツのために政府は個人の人権を踏みにじっているんだ!」っていう主張にした方が今の俺たちには身近だしリアルだったと思う。



あと、人物の心情も何か納得出来ないものがある。

飛び降り自殺した元上司のおっさん、なんでわざわざビルの屋上から飛び降りる直前に松坂桃李に電話掛けてきたの?桃李からしたら鬼迷惑やろ。安ドラマっぽい。

最初からドラマチックな作りの話ならアリかも知れんけど、リアル路線やとこの展開は違和感。後からニュースで自殺したことを知った、ぐらいで良かったのに。



あと、松坂桃李が物語ラスト近くで「もし向こうがこの記事を否定してきたら、その時は僕の実名を出しても構いません!」って大見得切ってたけど、あの覚悟のシーンはなんだったの?


赤ん坊が生まれて、正義感が芽生えて、これからの子どもたちのためにも良い国にしなきゃ…っていうあの一連の気持ちの流れ、なんだったのか。


ラスト結局、上司に詰められて抗う様子も見せず、そのまま折れてしまってたし。あの覚悟はただの気まぐれやったんか?


上司に何らかの脅しをかけられたのは想像できる。でもそんなん最初から折り込み済みやったはずやん、覚悟してたはずやん。

殺すとか言われたんかも知れんな。左遷とかチラつかされたんかな?でもそこは闘ってるとこ見せてくれないと!


「左遷するなら、私より先にまずオフィスの蛍光灯買ってきた奴を左遷してください!」ぐらい言って欲しかったわ。


いやなんなんあの暗いオフィス。電気代で節税してんのか?
俺の血税を是非とも彼らのオフィスの蛍光灯を購入する代金に充てて欲しいわ。




いろいろ文句言うたけど新聞記者側の描写は良かったな。変にドラマチックにし過ぎてなくて。こういう作品は表現がオーバー過ぎないの大事。

ただ主役の女性記者のカタコト日本語はめちゃくちゃ気になった。米国育ちという設定はあるにしても、初対面の松坂桃李がカタコトに一切触れないのも気になったし。


志の高さは感じるけど、いろいろ不満が残る作品だったな。
ゆーさく

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