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新聞記者の821のレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.0
遅ればせながらの鑑賞。この日本で、リアルタイムの政治にこれだけ踏み込んだ作品が作られていた事に驚きました。作り手の方々に心の底からの敬意を表したいです。

原案となった望月衣塑子さんの『新聞記者』は未読ですが、作中で出てくる事案が、明らかにモリカケの獣医学部問題や伊藤詩織さんの告発など、直近の出来事を仄かしていて本当に驚きました。「当たり障りのない」作品が多く作られ、俳優や芸能に関わる人が政権批判や政治発言をすることを厭う風潮の日本で、お上への忖度なしにこんな作品が公開され、さらに評価されていたとは…。「娯楽」以外の、映画の持つことのできる力が強く示されたと、素人ながらに思います。真偽がどうであれ、埋もれているもの、隠されているものにスポットライトをあて、議論を呼び起こす。作品そのものの持つ意義がとてつもなく大きい。

この役を引き受けた松坂桃李は本当にすごいと思いました。記者役にはシム・ウンギョン。知名度的なアンバランスを感じたので、こんな現政権批判的な政治色の強い役を引き受けられる女優さんいなかったんだろうなって思ってたら、やっぱりそうだったんですね (Wikipedia 参照)。

気づきとしては、内閣情報調査室の「闇に包まれている感」が、敢えて具体的でなく、薄暗く作られているセットと映像で絶妙に描写されていると思いました。反面、杉原の妻はいつも温かみのあるライトに照らされていて、そのコントラストが印象的だった。

うん、やっぱ洋画ばっかり見てたのあかんかった。日本に住んでいて、これからも住み続ける訳だし。これだけの作品が実際生み出されてるし、邦画もしっかり見ないとだなあ。
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