2020

新聞記者の2020のネタバレレビュー・内容・結末

新聞記者(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

現実のあれだとわかるようなニュースを盛り込んでリアルにフィクションを描いてるけど、どこまでフィクションかわからない、映画なのかドキュメンタリーなのか境界線をあいまいに感じる凄い作品。

とは言え、演出がちょいちょいエンタメしてくるその加減が絶妙。
例えば立場によっては悪にも正義にもなる内閣情報調査室を描くライティングとか、現実ではありえない舞台のように演出された光の使い方をするシーンがあったり、映像演出の遊びの部分は印象的。
他にも自殺した現場に後から訪ねて行く時の撮り方の構図が独特だったり、ストーリーはめちゃくちゃ骨太だけど、映像的にはフックになるような=エンタメになるようなシーンを随所に取り入れる工夫もしていて、結果、やっぱり映画なんだ、エンタメなんだなと引き戻してくれるところも上手い、というか僕にはフィットした。
音も含めてあまりドラマティックにしすぎないさじ加減も絶妙だったなぁ。
勝手に機密ファイルをみるシーンと、上司とすれ違う時の雰囲気、張り込み中の車窓から主人公たちを盗撮する様な撮り方で追いかける映像など、もちろんスリリングにしようともいう演出意図が丸見えのシーンもあるけど、絶妙の味付けだったなという印象。


あとは赤ちゃんを授かるとか、今後のキャリアの事とか、人間の強くも弱くもなってしまう部分を絶妙にストーリーにからめ、心理状態に揺らぎが生まれざるをえない主人公の内面の戦いの描き方もうまい。
彼をとりまく環境と人間関係との渦巻きの作り方が綺麗というか。
見終わっても本当に考えさせられる映画だった。

それにしても、前半しばらくなんでカタコトの役者をキャスティングしたのかなーと思うくらい話し方が気になって凄い違和感あったけど、だんだんとああいう日本人には無い、忖度をしない働き方をする記者を描くにはむしろ外国人のエッセンスを持つ人の方が日本人にやらせるよりさりげなくリアルになるなと思う部分もあってキャスティングで語る演出としてもの凄くなるほどなーと思った。勉強になりました。


後で書く。
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