祐吉

轢き逃げ -最高の最悪な日-の祐吉のレビュー・感想・評価

2.0
運転免許を持っていれば、誰しもが“明日は我が身”と
なる可能性を持った本作。正直、ド直球なタイトルと
ともに暗澹たる気持ちになる。しかし、こうした興行
的には厳しいであろうテーマを扱おうという水谷豊
監督の心意気は買いたい。

作品は大きく二部構成。前半は加害者を、後半は被害
者の両親と刑事たちを中心に描かれる。ただ後半の被
害者の携帯を巡る展開は強引だし意外性にも欠け興を
そぐ。いっそのこと加害者と警察側の追いつ追われつの...
加害者の自責の念に駆られるイヤ~な日常と警察側の
緻密な捜査を、時折関係者をまじえサスペンス映画と
して描くと物語がしまって良かったのでは。刑事役の
岸部一徳×毎熊克哉のバディが時折ユーモアを交え
魅力的だったので、もう少し観たかった。前半の加害者と
同乗者の関係は、友情というより、完全にBL。比喩
表現を交え、もっと笑わせてほしかった。

人は切羽詰まった時に、その人間性が問われる。
万が一のことが起こってしまい誰も見ていないと思っても、
その場から逃げ去るのはやめよう、と改めて心に誓わさ
れる、いい意味でも悪い意味でも水谷豊の生真面目さが
貫かれた一作でした。特に免許取りたての人にお薦め。
祐吉

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