マーチ

轢き逃げ -最高の最悪な日-のマーチのレビュー・感想・評価

2.3
【感想】

最初のシーンから水谷監督の「いいっしょ、これ!」が見え透く謎に壮大なカメラワークで撮られていて(ちなみに後半にも謎にぐるっと一回転するカメラワークあり)、(前半は特に)笑ってはいけないシリアスなところなのになんか笑える…それはセリフの古めかしさだったり、現場しか経験していなくて映画技術の本質的な部分はあまり学んでいないであろう“天然”水谷豊監督が、己のセンスと現場での知識のみで撮っているから。

今回監督自らが初めて脚本を書いたということで、ある意味普通の映画ではあり得ない突飛な演出や展開になっていてそれが面白くもあるんだけど、とにかく前半が信じられないくらい酷い。それはリアル路線の映画にしては過剰な役者の演技もそうだし(後半の伏線という見方があるのも分かるけどそれにしたってなんか違うような気がする)、先述したような脚本のセリフもそうだし、撮り方もそう。露骨というか、いくらなんでも直球すぎて(悪い意味で恥ずかしさの)鳥肌が立った。シネコンで観たんだけど、それだけの公開規模でかけていい映画なのかと思わずにはいられない。それはそれとして、中盤にサスペンスへと入ってからは割と安定してくるし、水谷監督のあらゆる意味で予測不可能な脚本が揺さぶりをかけてくるので「いや、ちゃんと面白くなるんかい!」とツッコミを入れたくなってしまった。笑

『相棒』シリーズよろしく結局水谷豊が脇役なはずなのに個人捜査を始めたのには笑ってしまった。刑事じゃなくて被害者の父親なんだけどね…

監督がただ入れたかっただけとしか思えないアクションシーンも案外良かったし、前半はどうなることかと思ったけど岸部一徳さんが出てきて以降は相棒ファミリー含め、ベテラン俳優が勢揃いになるので作品としてしっかり見られるようになる。ただ毎熊さんはミスキャスト。コメディリリーフっぽかったけど、個人的に彼はもっと抑制の効いた役の方が合っていると思う。

総じてなんだかんだ作品として成立してるのがズルいんだけど、前半はほんと酷かったと思うし、中盤は良かったのに最終的な帰着は2019年の映画としてはさすがに受け入れがたい時代遅れな昭和映画的古臭さ(解釈)…『相棒』シリーズが個人的には大好きなので、俳優としての水谷豊は好きなんだけど、『TAP』然り監督としての水谷豊にはまだあまり魅力を感じられていません。本人は次もやる気満々みたいですが… 笑 (ちなみに、『TAP』よりも今作の方が演出面での素人ぶりは際立っていました。)