再掲。歴史的な作品だと思います。しかし、これを単なるLGBT映画にしていないのは、主役のキャラクターと田中圭さんの演技のおかげでしょう。これがとても魅力的なので、下手をすれば一般受けしない傾向映画になりかねないところを楽しい娯楽映画にしています。百合好きとしては、これが百合にないのが悔しいところです。しかし、ふつうの娯楽映画になったことで、安易にテレビのお下がりにあずかる薄っぺらい日本映画そのものになってしまいました。もっとしっかりしたテーマと脚本があれば、娯楽性と社会性を兼ね備えた名作になるポテンシャルがあった作品だと思います。もう00年代の勝ちパターンに従うのは止めて、プログラムピクチャーはもっと誇りをもって冒険して欲しいものです。
