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ブライトバーン/恐怖の拡散者のt0moriのネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと期待し過ぎてしまった。
ジェームズ・ガンがプロデューサーに名を連ねているし、「もし、スーパーマンが正義に目覚めずに邪悪な者なったら?」という思考実験から始まったであろう企画としても、もうちょっと捻りのあるの物になると思っていたけど、カビの生えたアンチヒーロー物に過ぎなかった。
ガン監督が古巣トロマでまた、おかしなB級映画を撮りましたよ!っていうならそれはそれで興味深く観れるかもしれないが、今作程度のアプローチだと、自主的な企画から始まったジョシュ・トランク監督の『クロニクル』の方が、モキュメンタリー的な切り口も交えていて、よほど洗練されてる。

せめて、ブランドンが異質な力に目覚めて行く際に、少しでも親子の情愛とか葛藤らしきものが描かれていれば、まだ色々考える余地があろうというものだが、初手から受け入れてしまってるし、その割には時折戸惑いを見せたりして、どこに感情の起点があるのか、不明瞭で観客にまったく訴えかけない。
シナリオも弱いし、演出も陳腐な所が目立つ。伏線のつもりの手の傷は、どこで切ったのかよく分からないし、あのマークにしたって、バレたくないなら何で書くんやw とツッコミながら観ていた。厨二だからさ、って言い訳ならそれこそ『クロニクル』やガン監督の『スーパー!』の方が、人としての葛藤やドラマが見え、考えさせられた。今作はどこにも感情移入出来ず、怖くも悲しくもないのが実に残念。もうちょっと何か、別な物を観せられそうな企画だと思ったのだが。

スコアのほとんどは、ブランドンを演じた主演のジャクソン・A・ダンくんへの評価。あの無機質な表情と、彼を見つけて来たという部分は評価が高い。
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