wisteria

行き止まりの世界に生まれてのwisteriaのレビュー・感想・評価

4.1
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ということで初鑑賞。アメリカ🇺🇸のラストベルト(錆びついた工業地帯)を舞台に、スケボー🛹で結ばれた3人の友人の12年の生き様を記録した私小説的ドキュメンタリー作品。

原題は"Minding the Gap"で、「足元の段差に気をつけて」という意味の決まり文句だが、このgapには様々なニュアンスが含まれているのだろう。白人(ザック)、黒人(キアー)、アジア人(ビン)の人種間、それぞれにDVやら離婚やら死別やら再婚やらの問題を抱える家族間、特に親子間、男性と女性の性別間、経済格差の大きい地域間、などなどいろいろなギャップが炙り出されていく。Mind the gap!

ただ本作の特徴は、それらのギャップを生むアメリカの社会問題を力強く指弾する、といった調子にではなく、それぞれの人生に寄り添ったあくまでもパーソナルな視点に重心があることだろう。その点に映像作品としての奥ゆかしさと滋味があると同時に、個人的にはちょっと物足りなくも感じてしまった。このテーマならもう少し社会批評性のスパイスを効かせてくれても良かったのでは?とも。この行き止まりを産んでいるアメリカ🇺🇸社会の病巣とは?しかしそれは、監督を含む等身大の人物たちの、子どもから大人への変わり目に起こる個々の「人生」という、より普遍的なテーマにフォーカスしたい作り手の意図とは違うものになってしまうのかもしれないけれども。。

それぞれに生きづらさを抱える若者を結びつけるストリートカルチャーとしてのスケボー🛹が魅力的に描かれている点でジョナ・ヒル監督の『mid90s』と並べてみたくなる作品。彼らのその後を描いたという風に見立てることも出来そうだ。あちらにも映画監督志望者なども出てくるし。奇しくもただいま両作品ともアマプラ見放題配信中ですね!
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