カイ

行き止まりの世界に生まれてのカイのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

2023年8作目。スケボーを駆り街を走る若者たちの姿は一見自由そのものに見える。しかしその幻想は徐々に崩れていく。行き止まりの町・ロックフォードに蔓延るの貧困と暴力。その影響を直接的に被ることになったザック、キアー、そして監督のビン。皆家族にトラウマを抱えていたが故に、傷付いたもの同士に絆が生まれる。ザックは親になるということ、キアーは父の影を見つめること、ビンは親を許せるのかということ。それぞれに現実が容赦なく迫ってくる。キアーが指摘する通り、このドキュメンタリーがセラピーとなって、彼らは自分の現実に向き合い始める。彼ら自身ではなく世界の歪みによって苦しめられる現実が苦しい。しかしそれでも前に進む彼らは再びスケボーに乗って街を駆ける。振り返った後は、前へ、前へ。生の感情に心揺さぶられました。
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