Omizu

行き止まりの世界に生まれてのOmizuのレビュー・感想・評価

3.8
【第91回アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞ノミネート】
中国系、黒人、白人のスケボー仲間3人の過去と現在を映した作品。

それぞれ抱える問題はそれぞれ異なるけど、「親との不和」「貧困」という共通点が浮かび上がってくる構成は見事で、特に編集がいい仕事してる。ザックが「そんな女は殴られて当然だろ?」ってところからビンの母親へ繋げるところは鳥肌たった。

また現実の重さから逃避するように華麗なスケボーのワザを挟み込むのはすごくいい。みんな上手いし本当に楽しそう。

スケボーで繋がっていた3人が現実に呑み込まれるように離れてゆくのが哀しかった。特にザックはどんどんあらぬ方向へ行くのが…保守系だった父親に影響されたのか耳を疑うような発言もあったりしてなんか哀れだったな。

親も親で二面性を持って描かれるのがよかった。厳しいけど愛があった、殴られたけど謝ってくれた、人間は多面性があって然るべきなところをしっかり映し出している。

ただビンの継父はどうしようもない。アジア系の女性と結婚して子供に暴力振るうって…典型的な従順なアジア人が好きな保守白人じゃん。

ドキュメンタリーとしてとても誠実で、かつしっかり面白い作品だった。
Omizu

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