にゃんこむ

彼女の権利、彼らの決断のにゃんこむのレビュー・感想・評価

彼女の権利、彼らの決断(2018年製作の映画)
3.9
宗教や政治の嫌な面を見たい方にはオススメなドキュメンタリーです。
貧困女性の中絶問題や望まぬ妊娠など、もっと中絶に対する現状がわかるような作品かと思いましたが、
とってもキリスト教な映画でした。

妊娠のいかなる段階でおいても中絶を禁止したい人々 VS 女性が中絶に至る過程を支援をせずに中絶だけをただ廃止をするのは権利を奪うことであると主張する人々

この作品をみて中絶反対派に賛同できないと思いました。
中絶反対はいわば宗教的思想です。十戒を持ち出したり、神の名前を出したり。
しかもただ単に反対反対言っているだけで、肝心の女性にたいするケアはおざなり。
口は出しても、支援や金はださねーよ。中絶担当の医師はむかつくから危害加えてやんよ。なんてどこに賛成できる要素があるんでしょう。

しかも皮肉なことに、敬虔なキリスト教徒で中絶反対が病院を襲撃し殺人を犯したりすることも。
あれほどお腹の中の赤ちゃんも一人の人間で神から授かったもので、中絶は殺人であると言った口で自ら殺人を犯すなんて、とっても皮肉。

後半は、なぜアメリカの共和党が中絶禁止を推進する法案を通したのかに焦点が当てられます。
熱心な宗教信者を取り入れ、票を獲得するための『中絶反対』なのです。政治戦略家が、これなら国民感情に訴えられるだろうと考えたに過ぎず、そこに女性の権利や子供の保護を目的とするものはありません。
女性に全ての責任を押し付けて対症療法的な対応をするだけで、中絶に至る原因を取り除こうなんて気はサラサラないなんて、とっても腹立たしい。

この戦いに勝つんだ!
と拳を握り力説する中絶反対派中核の男性。
一体何と戦っているの?
にゃんこむ

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