福福吉吉

スウィング・キッズの福福吉吉のレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
4.0
1951年、朝鮮戦争中の巨済捕虜収容所でイメージアップのため、ロバート所長はタップダンスチームを結成するよう、元ダンサーのアメリカ兵士ジャクソンに命令する。北朝鮮の兵士ロ・ギスはジャクソンの見せるタップダンスに惹かれてのめり込んでいく。そんな中、南北の対立が激しくなり、ジャクソン率いるダンスチームのメンバーたちはダンスを継続することが難しくなっていく。

ストーリーは朝鮮戦争を背景に、戦争に翻弄されながらもイデオロギーを超えてタップダンスに情熱を注いだダンスチームの顛末を描いています。戦争の悲惨さ、妄信的な思想の怖さを描きながら、ダンスの華やかさと楽しさも描いていて見応えのある内容になっていました。

ダンスチームのメンバーは、
(1)黒人で元ダンサーのアメリカ兵ジャクソン(ジャレッド・グライムズ)、
(2)4ヵ国語を話すことができる女性ヤン・パンネ(パク・ヘス)、
(3)生き別れた妻を探すために有名になりたいカ・ピョンサム(オ・ジョンセ)、
(4)ダンスは上手いが小太りで栄養失調のシャオパン(キム・ミノ)、
(5)戦争の英雄にして血気盛んな問題児ロ・ギス(D.O.)
の5名で構成されており、個性的で魅力のあるキャラクターになっていました。

ストーリーに挟まれるダンスシーンは、服装はみすぼらしいが、軽快な音楽にのってとても真剣で楽しそうに踊る姿はどれも魅力的で、色んな環境に晒されながらも、そのときの想いが伝わってきて良かったと思います。ジャクソンとロ・ギスのダンスでの対決は観ていてとても気持ちが熱くなりました。

ストーリーの後半はかなり重い展開になり、北朝鮮兵士のロ・ギスにとって苦境が続き、ダンスに心惹かれながら、資本主義国への反抗というイデオロギーに縛られるロ・ギスの苦しさがしっかり伝わってきました。

ラストは衝撃的で、しばらく唖然としてしまいました。

ダンスチームの熱さと戦争の悲惨さを併存させた素晴らしい作品でした。

鑑賞日:2022年9月6日
鑑賞方法:BS/CS
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