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スウィング・キッズのncccoのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
4.0
朝鮮戦争下の収容所を舞台に繰り広げられるダンスストーリー。
人種や思想を超え、情熱で惹かれ合い心を通わせることの素晴らしさがタップダンスを通して描かれる。

全般通してクオリティの高いカメラワークに映像美。特に音と映像を繋ぐ手法が素晴らしく、この高揚感を描くためタップダンスという題材を選んだのだと納得のリズム感、テンポの良さに気分が上がる、上がる。

主人公ギスが包丁の音や洗濯棒の叩きつける音、聴こえる音全てにリズムを見出し、踊らないではいられないとばかりにタップダンスにのめり込んでいく前半パートも素晴らしかったけれど、圧巻は疾走感溢れる中盤の「モダンラブ」。
シンクロする2人のダンス。重なり合う2人の怒りや焦燥感、自由に生きたいという強い渇望が踊るうちに生きる喜びへと力強く転化していく様を私たちは目のあたりにする。踊ることでしか得られない極上のカタルシス。そこでひしひしと感じるのは、「喜びに生きて何が悪い」という強いメッセージだ。

初めは単純に生きる手段だったダンス、それが次第に自分たちの喜びや怒りややりきれなさを代弁する手段に成り代わったとき、彼らはただの寄せ集めではない唯一無二のチームになっている。結束力が強まるに反比例してストーリーはどんどんシビアさを増し、このまま無難に済むとは思っていなかったけれど、まさかの救いのない悲しい展開にドスンと落ち込んだ。ここまでやらなくてもよかったんじゃないかとも思うけど。。

身体が勝手に動き出し自然とリズムが弾けてこぼれて、踊りたくて踊りたくてしょうがないから踊る。一挙一動に生きる喜びを溢れさせる主役のド・ギョンスのカリスマ性とキレのある圧巻のダンスパフォーマンスに痺れること間違いなし。この疾走感は、映画館で味わってこそ価値がある!大きいスクリーンでぜひどうぞ。
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