キナ

スウィング・キッズのキナのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
4.5
ファッキン・イデオロギー!ファッキン・イデオロギー!!ファッキン・イデオロギー!!!!!!ああーーあーーー!!!!!

もーーーー今すぐ叫び回り踊り回りドラム叩きサックス吹き喚き散らしこの胸掻き毟ってやりたい!!
なんて恐ろしい映画なんだ!!ファーーーック!!!!👍!👎!👏!!

国も思想も生き方もバラバラの5人、「スウィング・キッズ」が刻み込む、魂のタップダンス。

戦争の無情、その中にある情熱と楽しみと笑顔、その中にあるイデオロギー、その中にある絆と愛と友情、その前に立ちはだかる戦争の無情。
無限ループに落とし込まれてどうしようもなくもがくしかない。はぁしんどい。しんどくて好き。

喧嘩もコミュニケーションも、ひとまずダンスで。
殺伐とした空気に音楽が流れ身体は動く。
そんな「ザ・ミュージカル」なシーンに笑い泣きしていたのに、一瞬で真顔に変えられてしまうシビアな展開。
どんなに楽しく情熱がこもっていようと、戦争の抱える暗闇と常に隣り合わせであることを示される。
底抜けに明るくなんてなれない。なれるはずもない。

立場、主義、仲間、家族、憎しみ、規模も中身もそれぞれ違うけれど、皆ジレンマを抱えていた。
それを全力で振り切り、全力で楽しみ、全力で訴えかけるタップショーに号泣。

ギスのただならぬ気負い。
小憎たらしさ満点の彼。
小憎たらしいでは済まなくなった瞬間の、サーっと血の引く感覚。嫌だったな。すごく。
どうしようどうしようと、祈るような気持ちで観ていた。

誰もが主義思考に振り回されているだけだと気付けないのは、戦争のせいに他ならない。
それでも、タップシューズを履けば全て忘れて踊ることができる。どこまでも遠く走れる。
どこまでも遠く、扉をブチ開けて、本当に行けたら良いのにね。はぁしんどい。しんどくて好き。

タップダンスのあの鋭い音には興奮と共にちょっとした緊張感も覚えるもので、それが戦時の空気と混ざって良い相乗効果になっていた。
絶え間なく鳴り響く小気味良い音にどれだけの熱が込められていることか。

Sing!Sing!Sing!は偉大なる名曲だなと改めて思う。
中高と吹奏楽部だったので、何度も演奏したことがある。クライマックスであの曲が使われて本当に嬉しい。またドラム叩きたいな。バリサクも吹きたい。
ダンスチームと共に、音楽隊にも拍手を。

5人のキャラがとても好き。
ジスの抱える複雑さと彼の格好良さといじらしさは言わずもがな、常にどこか困ったような表情のジャクソンの力漲るダンス、人情派ビョンサムのオーバーな愛情表現、しっかり者童顔お姉さんパンネの優しさ、踊れるデb...ぽっちゃり君シャオピンの超絶かわいいゆるキャラ感。

「スウィング・キッズ」という名前も良い。
戦争の前にも後にも未来が待ってる。
みんな無限の可能性を秘めた子供なんだよね。本当に。はぁしんどい。しんどくて好き。はぁーーーすき。面白かった。
キナ

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