先ほど劇場で、細田守の描く最新サイバースペース「U」を堪能してきた。「OZ」はもちろん知っているのが、さらに過去作にして原点たる本作は観たことがなかったので、帰ってきてから鑑賞。
いや、なるほど。これは「サマーウォーズ」そのまんまだな。
「死霊のはらわた」に対する「Within The Woods」、「第9地区」に対する「Alive in Joburg」と同じ位置に存在するのが本作。
そして、「竜とそばかすの姫」も含めて一貫しているのが、
・イマジネーション溢れるサイバースペースの視覚化。
・仮想空間から現実への負の浸蝕。
・反対に、現実から仮想空間への正の影響。
・モブがモブじゃなく、物語に奉仕する機能をちゃんと持っている。
・舞台は常に田舎。
などなど。
とはいえ、本作の脚本は吉田玲子さん。
アニメだけでも枚挙に暇がない傑作の数々に加えて、実写でも大傑作の「のぼる小寺さん」までこなしている名手。
この物語にどこまで細田さんの意思が介入しているのかはわからないけれど、仮に完全にあてがわれた脚本だったとしても、細田監督が本作で「摑んで、そして拡張したもの」が後に彼の作家性のかなり大きな部分を形成したことは間違いない。
加えて、本作には懐かしい描写が山盛り。それがいちいち正確なんだ。
ISDNでのダイヤルアップ接続やってましたね~。私もBIGLOBEだったし。
あ、でも、2000年ならもうADSL引いてたな。
Win98のルックも懐かしい。っていうか、見た目ではWin95と区別しにくいんだけれど、エンドクレジットにWin98とありましたね。このあとリリースされたバグバグのMeにはいっぱい泣かされました。
あ。Meだったらもっとヤバいデジモンが産まれてたかもね。
途中に出てきたハンディサイズのPCは何だろ? 東芝のリブレットか、NECのモバイルギアがモデルかな。両方持ってたよ。あと、IBMのウルトラマンPCも持ってた。モバイルギアのDoCoMo版のシグマリオンや、VAIOのC1も持ってましたよ。
ミニPC好きだったんだよなぁ。
あと、逆にインディとかNeXTとか、往年のハイスペックマシンも持ってたんだけど、全部引っ越すたびに捨てちゃったなあ……。
あ、話が逸れたか。
第三幕の対決シーンで「メールそんなに受けちゃ、固まっちゃうよ」と突っ込んでたら、ちゃんと劇中で処理が遅くなる描写があって、「おお、そうそう。そうだよ。わかってらっしゃる」と納得してたんだけど、それだけじゃなく、これがしっかり勝利への伏線となってたんで感心しまくりでしたよ。
エンドクレジットの最後の最後が、「Windowsのシャットダウン」で幕を閉じるのもニンマリできました。
懐かしさ込み、プラスさっき観てきた「竜とそばかすの姫」の最新アップデート版サイバー空間描写の半端じゃない没入感への感謝で、ちょっと加点評価しちゃいます!