スコセッシフォールド全開

天気の子のスコセッシフォールド全開のレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.3
映像に着目していたが、凹凸、汚れ、光と影、不規則性、ディティールを極めていてずっと素晴らしかった。しかし写真のようではなく、アニメーションの域からは出ていないのがすごい。東京の人や物の汚さ冷たさ、新宿を再現できていた。後に水没するのがおもしろい。須賀の自宅兼オフィスで、アニメーションで生活感って出せるだと思わされた。反対に流体表現とかは大袈裟で、妙に印象付けられるのはそこのギャップからなのではと思う。
ピアノ音で気持ちよくなる。RADの力なのかもしれない。
リアルを演出するために実在する企業名、そのロゴと商品を出すのは全然納得できる。
本来の用途(?)ではなく無邪気にラブホテルを堪能する。おもしろいけど、プライベートを尊重するラブホテルが未成年の家出少年少女を受け入れた、と考えると生々しい。
『君の名は。』とは対象的。とはいえ児童相談所や警察、ひいては法、憲法は”国民を守る存在”であり、それに反抗することを美としてはいけない。自由とは違う。親友一人を世界を敵にしてでも救う勇気と法治国家の一員として処分を受ける勇気。この両立が大切で、それをやってた。
『マル秘の車発見』で警察から須賀も追われていることが判明する。社会常識を破ってでも行かなければならなかった。彼なりの贖罪。①一緒に自首しに行こうと提案。②警察を足止め。
前作と同じユニバースなのかな?彼らが大人になってる。
ネタにされている本田翼の棒読み登場シーンに確かに一人浮いている印象をもったが、それ以降の演技にこれといった不満はなかった。