図師雪鷹

天気の子の図師雪鷹のレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
5.0
斬新な作品だった。
「天気」と「人の出会いと別れ」を絡めて1つの物語を作ろうとする人はあまりいないんじゃないのか。



新海誠監督作品に共通する要素の一つとして「リアルな映像表現」があるが、今作では冷たく鬱屈とした新宿の描写を通じて、主人公・帆高の心の問題がそれとなく示された。そして、それとは対照的に「心を動かされてしまうような空模様」、「光が射すビル街の風景」、「ヒロインの陽菜の瞳」など、もとより華麗なものをより際立たせることも欠かしていない。
登場人物の広げ方も良かった。特に印象に残ったのは、帆高の雇い主になる須賀。彼は、大事な人を失う悲しみを主人公の代わりに背負っている重要人物であり、彼の感情こそが、この映画の「巫女」という設定に強い説得力を与えている。

鳥肌が立ったのはやはりあのシーン。世界の形を壊してでも手を繋いだ二人。その喜びが、この世界ではもう二度と見られないであろう晴れやかな空と共に伝わってきた。このシーンで流れるバックミュージックも天才的すぎる。野田洋次郎、恐るべし。


苦言を呈するならば、もう少し銃についての説明は欲しかった。確かに『キャッチャー・イン・ザ・ライ』がカップラーメンの重しとして登場してくるこの作品において、銃の存在は極めて重要だ。しかし、銃が道端に落ちていた理由が曖昧だと私は感じた。もっと密接にストーリーへ組み込まれてほしかった。


ほかにも気になる点はあったにせよ、心から感動したのは間違いない。

また観に行きたい。





※結局、初日に2回も観てしまった笑
2回目でようやく気づいたんだけど、帆高は雨男かつ龍神の化身だったのかな。
帆高が東京に来たときは普通に晴れてたけど、そのあと降り始めたし。
龍神の化身だということは色々な場面で示されていたと思う。特に、帆高が龍デザインの帽子を被っていたのはわかりやすかった。
帆高という名前については最後まで不思議に思っていたが、これに関連する記事を見つけた。↓


 足高神社は別名を「帆下げの宮」といい、かつて周囲が海でここが島だったことに由来しています。
「小竹島」または「笹島」と呼ばれていた島であった頃、島の周囲は潮流が激しく渦が巻いていたといわれています。ここを通る船は全て帆を下げ、足高の神に航海の安全を、現代では交通の安全を祈願されています。



倉敷観光WEB
https://www.kurashiki-tabi.jp/blog/13076/(2019年7月19日閲覧)より引用

足高の神さまなんて初めて聞いた。
恐らく、帆高という名前はここから来ているのではないか…!
この映画、岡山と関係があったのか…合ってるか分かんないけどもしそうだったら面白いな。
図師雪鷹

図師雪鷹