えむえすぷらす

天気の子のえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
5.0
科学考証してるところとしてないところの落差がすごすぎる。
大雨で大橋が沈むとかそれは温暖化の海面上昇がないと起きません。それも50m級。
大雨で水没するのは海抜がマイナスの地域。降雨量>排水能力となれば水没します。
(追記。この部分、実は世界的な温暖化で海面上昇も起きてるんじゃないかとしたら色々と辻褄は合う。東京の雨は帆高の選択かもしれないけど海面上昇は彼だけの責任じゃない。それこそどうせ世界は狂ってるのだから……って小説版読むとどうもレインボーブリッジは雨で沈んだと書かれていてうーんとなりました。ここはちょっと私にはおかしいように見えます)


物語は編プロの2人と姉弟との関わりを描く2系統あってうまく融合していないように。姉に与えるインパクトも弱い。少なくとも東京が揺るがされるような異常気象の話としてはちょっとどうかな(と思ったけど2回目だとそう気にならなくはなった)。
起きる事を軽く見せるためにあまり踏み込まななかった部分はある。客観的な描写を避け起きた事を軽くしているのは帆高の選択の意味、「公共」「多数の利益への侵害」など今時より重視される感情への挑戦を隠すためなのか。

最後に帆高が叫ぶ言葉には大きな意味があった。彼が抵抗したのは呪いなのか枷なのか、それとも背負わされた何かなのか。そういうものから自由であればいいと中高生や大学生の観客に言っているようでそこは意味があったと思うのです。

追記。主題にはある種の秩序、常識を疑うような主張が含まれる。拳銃は違法ですが、帆高は自分のために使わない。二度とも陽菜を救うために使っている。そしてそれ自体は人に当たったりしない。でも帆高の決意のあり方は明確になる。法の一線を超えても守るという意思の描写にはなる。