群青

天気の子の群青のレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.7
2019年劇場鑑賞12作目。


君の名は。で今までの作品を払拭するかのようなアッパーで恥ずかしいけどやっぱり…キュンとしてしまう!(堕ちる)ような作品を作ってしまったまこっちゃん(呼んでいるのは私だけ)こと新海誠監督の最新作。

一般人向けの試写会はせず、計画的にギリギリまで制作(完成は公開の12日前)して、観客をどういう場所に連れていくかを練りに練ったそう。そのせいか知らないがまこっちゃんは賛否両論になる、と言っていたしスタッフ向けの試写会では君の名は。より圧倒的に増えた客と期待感に怖いと言っていた。
果たして公開された天気の子は早速連日満員の盛況だという。

作品としては君の名は。の社会現象になったような勢いや輝きは感じられない。おそらく賛否両論になると言っていた内容の部分がブレーキになっているのだろう。
お得意の美麗な映像は君の名は。に比べなりを潜めている。
終始曇り空だし陰鬱な雰囲気が漂っている。何よりは内容、、というか結末が君の名は。とは全く異なる方向に向いているからだと思われる。

観れば分かるが君の名は。は震災のような痛みの記憶を知った男女がそれを避けるべく奔走する。そしてお互いの気持ちを伝え合い、その想いにより痛みの記憶をなかったことにした。男女の想いが痛みを超えたのだ。それによるカタルシスを描いていた。

しかし監督はそうした内容からくる批判、なかったことにしたという趣旨の批判の源泉は何かを考え、もっと怒ってもらうためにこれを作ったという。
この作品を観た時の違和感、それでいいのか、という主人公の選択はその怒りを持った人に対しての祈りのような言葉だと思った。

パンフレットの監督インタビューで今の子は先代の人が選択した結果の世界に生きている、と書いていた。勿論便利な物も昔と比べてたくさん生まれたが、その代償による環境の変化を今の人たちは当たり前の認識として持っている。昔はこんなに暑くなかったとか、具体的に誰々がいてって話をされても今の人たちは生まれる前だからピンと来ないわけだ。
そんな人たちが自分たちでその環境を選択する。

これは受け身でその環境に生きざるを得ないこととは全く逆の発想だ。
一種わがままで利己的にその環境を選びその環境の下で生きていく。
それが素晴らしいことだと主人公とヒロインは挿入歌グランドエスケープの流れる中で表現するのだ。ここのコーラスの部分がまさにそれを表している。

まるで今の子供たちの背中を押しているかのようだ。
今のこの環境はそれとして受け入れてそれでも僕らは生きて選び続けていく。それが尊いことだと。それが好きな子へと続いていくはずだ、という素敵な考えに辿り着いている。


ってことなんかな!?まこっちゃん!正直最初は戸惑いましたよ!笑
あれれー?ってなりましたよ!
だからこの世界は狂ってるんだよね!だって劇中、明らかに違和感があるのはその結末と最初にでかいBGMとともに画面を横切るあの車だもんね!ギョッとしたよ!まさかボーイミーツガール映画であの音を聞くなんて!冒頭で明示してたってことなんだね!狂ってるって!笑

巷ではエロゲーの3周目のトゥルーエンドとか言われてるけど確かにって思える雰囲気だし、責任も権利もあなたにありますよっていう痛烈な今の世の中の人々への批判でも思ってるから君の名は。に怒ってる人はもっと怒ってるかもね!まこっちゃんの考えた通りだわ!笑

あと外れるけど、夏美さん良かったわーずっとあの人とバーで話してたいわーいつまでも、もしかしていけんじゃね?とか思いながら結局いけないまま終わって感じがいいわぁー!笑

今の天気にぴったりと思ったら梅雨明けたんだね。天気が悪い日に行くといいと思います。
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