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天気の子のesewのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.0
2019.7/29

少年が少年のまま、大人にもならず成長すらせずに大人と子供の壁をそのまま正面突破するということを描いたのはちょっと予想外でスゴかった。

作品としては95%つまんねーと思いながら見てて、最後の5%で引き込まれて持っていかれてしまった。一方であれだけの広告インサートを乱れ打ちしなが作品世界の中に組み込む商業的なマネージ能力は凄いなと。ハリウッドでも見たことない広告量と広告クライアントの質。

カルビーのポテトチップと、日清のチキンラーメンを混ぜ合わせたオリジナル手料理を振る舞うってどうやってカルビーと日清を説得してるのか。他社製品を一個に混ぜてしまって別の料理として描写するの凄すぎない?

新海誠は女性を描けない(女性を理想化しすぎてモノ化してしまう)し、本当の意味でのファンタジーも描けない(物語背景としての設定事項としてのファンタジーは使うが、ゼロベースで架空の世界にリアリティを吹き込みそこで物語を展開して人・モノ・世界を動かす構想実現力能力はない)のは明白だなぁと思った。

同様に、背景という静止画には並々ならぬ思い入れを持って描きこむが、アニメーションの本来のコアである2D手書き動画描写には愛がなくオリジナリティが全然ない上に物量と労力も投下しない。主要キャラ以外のモブは全然動かないし、電車や車や船のような乗り物は3DCG描写で省エネしてしまう。唯一2D手書き描写に気合を入れてるのは、空から二人で落ちてくる最終盤のその中の舞い上がって落ち始めるまでの一瞬だけ。

一人の命を全体のために捨てはしないんだ!それで救われなかった世界は、そこに生きる人たちが各々適応すればいい。だって日本って自然と対峙せずに受け入れてきたじゃんって感じの終わりが新鮮で良かった。

父親を近年ずっと描いてきたハリウッド作品に対して、日本はやっぱり得意の少年像を更新して返答しますって回答を出してきたのが自分の頭で考えててとてもとてもいい!95%クソだけどな!終わりがいいからいい!

ところであの物体としての水の巨塊落ちはなんなの?回収しないの?
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